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2023年5月12日 (金)

『神を描いた男・田中一村』

20230508  今年の頭、私が幼少時に通っていた絵画教室の先生から、田中一村という画家の絵のサンプルとともに、表題の本書を送っていただきました。
 けれど、田中一村という画家のことも知らなかったし、彼が晩年を過ごした奄美大島にも未だ行ったことがないし、ドキュメンタリー作家としていくつもの作品を書いておられる小林照幸さんという本書の著者の本も読んだことがありませんでした。
 ただ、先生から「この画家さんの絵を初めて間近で観たとき、圧倒されてただただ頭を垂れるしかなかった」という言葉を聴いて、読んでみることにしたのでした。
 東山魁夷氏の同級生だったため、彼との対比で「孤高」「異端」「不遇」の「赤貧潔しを貫いた求道的な画家だ」と言われることが多いそうですが、著者はそんな形容に疑問を感じ、ただ“絵を描くために生きた人”が最後に辿り着いた、神々しいモチーフに囲まれた幸せな場所での暮らしを描いたように感じました。
 世の中には、名も知られずひっそりと、求道的に生きる人というのが少なからずいると思っていますが、田中一村もまさにそんな人だったのかもしれません。また、外面的に見ると“変わり者”“変人”のように見えかねない言動も、その内面をきちんと理解する人にとっては、すべて辻褄の合った真摯なものであることが、うまく表現されていると感じました。
 いわゆるパトロン的な存在となった、奄美の宮崎鐵太郎・富子ご夫妻らの尽力もあってか、今は記念美術館もあるというから、「不遇」の形容詞は霧消したわけですが、才能が生前に広く認められなかったことは、やはり残念なことではあったでしょう。。。
 私は西洋画も好きですが、重ね塗りがききづらい日本画や水墨画の静謐華麗な美しさにはひときわ惹かれます。もちろん東山魁夷先生の幻想的な絵も好きなのですが、今度是非、鳥見旅で奄美を訪れて、田中一村という人の作品も観てみたいと思いました。

長谷川等伯】そういえば、先の水曜夜、NHK「歴史探偵」で、長谷川等伯の幻の障壁画に迫る番組をやっていましたね。この研究に取り組まれた安原成美さんという方は、私の教員時代の先輩のご同僚の息子さんなのだとか?! 遠いご縁ではありますが^^;;、“故きを温ねて新しきを知る”ことの出来る人間って素敵だなぁ…と、つくづく感じ入った次第です。

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