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2023年6月 9日 (金)

「犬王」

 ずっと観たかった「犬王」が、ようやくAmazonPrimeで観られるようになったため、月初の雨の日に鑑賞。
 先月末に、G7の首脳らが厳島神社を訪問したのを目にしたり、ニュースで、文楽の研修生が今年はゼロだったと聞いたり、千代田区に伝統芸能に触れられる「九段下劇場」という場所が出来たと知ったりした直後だったので、色々と思う所はあったのですが、本作を深く鑑賞するには、私には歴史の素養が欠け過ぎていて、十二分には味わえなかったのだろうと推測します。
 義務教育レベルで、源平合戦や猿楽や琵琶法師について触れてはいるものの…、また去年は、山田尚子監督の「平家物語」や三谷監督の「鎌倉殿の13人」を鑑賞したりしてはいるものの…、自分なりに資料に当たったりして独自の歴史観を涵養しているわけでもないので…、南北朝時代の権力抗争や、三種の神器の重みも分からず、公認された「平家物語」とそれ以外という区別もつかず、目の前で繰り広げられるアニメーションをあるがままに受け入れるしか出来なかったのです^^;;。
 そんな貧弱な素地しかない私が観た「犬王」は、“市井讃歌”の佳品に見えました。
 町人たちの様々な仕事ぶりの描かれ方がひときわ見事だったと感じ入っています。
 そして感じたのは、いつの世も、人々の心をとらえるのは、為政者や権力者の思惑に翻弄されつつも、素朴に響いて来る歌と踊りと音楽と物語であるーーーということ。
 さらに、人々に支持された芸術は、呪いさえも浄化するような力を持つということ。
 草薙の剣の一閃で盲目となった友魚(→友一→友有)と、猿楽の比叡一座に異形の子として生まれた犬王は、いずれも言ってみれば、権力や栄華に執着する怨念の被害者。そんな二人が出逢い、琵琶の演奏と能の舞で意気投合して伝統芸能を革新していくーーー。
 革新の道半ばで、ふたりは結局のところ、権力者に懐柔されたり反発したりで、バラバラになってしまうのは哀しいことでしたが、魂は再び出逢うことが出来たという意味ではハッピーエンド?? 解釈の難しい作品でした。
 アニメーション自体もとても斬新で、不穏な美しさに溢れていました。山田尚子監督の「平家物語」の美しさは、自然美と儚さが際立っていましたが、湯浅政明監督の「犬王」の美しさは、侘び寂と死生の妙。どちらも諸行無常を表現して、現代のそれをも考えさせてくれたのでした。

20230603 20230605 20230606 【食欲スイッチ】先週のように雨に降り込められると、俄然食欲スイッチが入ります^^;;。 

【サンライズのマクロス?!】先日、新作「マクロス」をサンライズが制作とのニュース! 歌姫を擁す(7は除く?)マクロスと、大人の女性(ハモンとかハマーンとかマチルダとか)の魅力が色濃いガンダムとが、どう融合するのか、興味津々です~♪ とはいえ、個人的には「マクロス7」をサンライズがリメイクするようなものを期待してしまうんですが…^^;;。
 一方、「ヴイナス戦記」のBlu-rayが出るとか?! 観たいな観たいな観たいな~!
 

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