『君たちはどう生きるか』
ジブリの最新作に感化され、映画鑑賞直後から読み始めた表題書籍。
先週末読み終えました。
概要は漫画版で知っていたのですが、やはり活字本の初版の重みは格別ーーー。
本書は、1937年7月という、軍国主義が勢力を増して来た時代に刊行されたということだけをとっても、編纂者や著者の並々ならぬ使命感を感じます。
私が購入した岩波文庫は、1982年11月16日に第1刷発行の、2023年1月16日第95刷!
本当に長い間、人々に読み継がれてきたんですね…。これまできちんと読んで来なかった自分が恥ずかしい。。。
本書は「日本少国民文庫」全16巻のうちの1つとのことですが、体裁は子ども向けとはいえ、大人になっても何度でも繰り返し反芻して、都度都度噛み締める価値のある本だと感じます。
ことに、人の仕事が専門分化して、個人レベルではとかく消費専門家のようにならざるをえない現代人こそ、「人間分子の関係、網目の法則」について、よくよく自覚した方がよいかとも思えます。
また、人生において後悔することは多けれど、後悔できることで成長もしているんだ、と、本書は教えてくれます。
その意味で、ある種、“救いの本”とも言えるかもしれません。
21世紀の今、そこここで起きている諍いや戦争を停められない不甲斐なさに、たくさんの人が心を痛めています。
人間の歴史というほんの一瞬の時の流れの中で、今この瞬間がどんな意味を持つのかはわかりません。
それでも、分子のような小さな存在の1つ1つが、“よくあろう”とすることで、全体としての大きな流れは、きっと“よい方向”へと動いていくんだろうと信じたい。
思えば、本書が多くの人の人生の礎になっているのと同じく、私にとってジブリ映画はいつも、“よくあろう”という気持ちを呼び覚ましてくれる存在でした。
「自分の行動を自分で決定する」という魔法のような力について、もっともっと自覚的でありたい。
よく見て、よく考えて、後悔のないように決定したいーーー。
本書に導いてくれたジブリと宮崎監督に、感謝です。
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