『星を継ぐもの』
先月末、表題の書籍を読了。
ハードSFの巨匠と謳われるJ.P.ホーガンの作品なのに、なんと初読です^^;;;;。
ずっと読みたかったものの、新版化でようやく手を出すことが出来ました。
ストーリーやSF設定もすごく予知的でスゴいのですが、それよりも、人間や地球や宇宙へのまなざしと、真理に迫りたいというサイエンティストの矜持と、学際的方法論の真摯さがスゴい!!!
分断化が進んだ昨今読むと、果たしてこの先、今の人類は、ルナリアンたちのような自滅の道を進むのか、ホモ・サピエンスとして和平的に危機回避するのか、種としての進化を見守る感覚に陥ります。
ある謎に直面した人類が、総力を挙げてその謎の解明に挑む過程を克明にたどる物語なのですが、読んでいるこちらまで、事実の因果関係や、科学的な説得性について考えさせられるという構成が秀逸!
いまどき、「科学的根拠」という言葉があちこちで聞かれますが、その根拠を示すためには、様々な分野の数多くの事実の蓄積と関連性の証明が必要であって、本来は数ヶ月や数年の分析だけで断言できることの方が少ない。それでも、薄弱な根拠でも前に進むしかない場面が多いのも確か。この匙加減のバランスが難しいわけですが、本書に登場するUNSA(国連宇宙軍)のグレッグ・コールドウェルのように、あらゆる専門家を束ねて各々の本領を発揮させ、問題解決に当たれるような人が、この時代には貴重なのだろうなぁ…と感じました。
創元SF60周年記念で、本作に引き続き、『ガニメデの優しい巨人』、『巨人たちの星』、『内なる宇宙』、『ミネルヴァへの航海(仮題)』と、新版5部作が続々と刊行予定とのこと。ゆるりゆるりとでも、全作フォローしたいと思っています♪
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