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2023年10月 7日 (土)

「メタバースにおける著作権」

20231002_8 20231006_2  過日、「"Mind the Gap" メタバースにおける著作権-イギリスと日本からの視点」なるイブニングセミナーを聴講。
 学振招聘のDinusha Mendis教授が、メタバースにおける著作権問題について講義して下さるとのことで、興味本位で恐縮ながらZoom参加したのでした。

 "metaverse"という言葉の初出は、1992年の『Snow Crash』(Neal Stephenson)だそうですが、盛り上がっては沈静化して…を繰り返しているようにも見えます。が、今現在存在する複数の環境が、いずれは1つに規格統一され、ヘッドセットも不要になる…という前提で、課題を洗い出して研究しておられるとのこと。以下、Mendis教授のご指摘のうち、印象的だったお話を自分用にメモ。(cf. 日本法46条・30条の2、英国法62条・31条)
・現実世界の風景や建物をメタバースに再現する際の、建築物等の著作権の扱い(風景の自由)
・イギリスのThe GherkinThe Shardは、著作権以外に商標権でも保護されている
・EUの中には、Freedom of panorama exceptionの規定がまったくない国もある(フランス、ギリシャ等)
・例外規定により建築物の外形を複製できても、そこに付随した美術著作物は利用できず、風景の再現が不完全になる場合も。。。
 →現実からメタバースへのシームレスな世界構築が出来ない
・英国においても、美術工芸著作物の扱いは割れている(1976,2020)→予測可能性が低い
・日本では、屋外に恒常的に設置されている著作物の利用はOK(一定の制限はあり) でも、屋内の場合はNG←特殊
・英国では「原作品」「恒常的に設置」という言葉の定義が不明確
・付随的挿入・写り込みについては、不可欠であるか否かが重要なポイント(cf. Panini decision)
・EUでは、Freedom of panorama exceptionに関する補償金制度は(2015年)検討はされたが実現はされていない
・EUに、メタバース実現のためのライセンス制度を設ける動向は(おそらく現状は)ない(cf. 機上上映のスキーム)
・日本の著作権法の複雑さについては、Mendis教授も、とても長くて難しいと感じておられる^^;;(メタバース構築には有益)

 まだまだ今後の動向は、数十年単位でウォッチしていくような状況ですね。法律における属地主義と、インターネットにおけるワールドワイドなコンセプトとのコンフリクトが、ますます顕在化していきそうです。貴重なご講演、ありがとうございました。

ガンダムビルドメタバース】それはそうと、先日Youtubeで、SUNRISE BEYONDの新作アニメが始まったようですよ~♪

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