『青い壺』
先月末、ゆるりゆるりと読んでいた『青い壺』を読了。
還暦を過ぎ、自らの衰えを切実に感じ始めた今読むのが、最適だったように思います。
ある陶工が偶然焼き上げた青磁の経管の、数奇な巡り合わせの物語なのですが、まず最初に感じたのは、「美術品の多くは、古くなるほどに価値が高くなるのに、ヒトは果たしてどうだろう?」ということ。
年を重ねて味わい深い滋味や侘び寂び感が出てくる人はいますが、なかなかどうして、老いさらばえるというだけで美しさからは遠のくし、性格的にも精神的にも堅くなっていく。。。
触れる人の心に忘れがたい印象を残す、柔軟で静謐な存在へと向かうには、どうしたらいいものやらーーー。。。
この物語の13編には、様々な老人が登場しますが、中でも私が感じ入ったのは、第11話のシスター芦沢。
改革前の修道会では、"沈黙は団体生活のための智慧"だった、と語るシーン。
沈黙とは対極にあるような快活な校長先生なのですが、奉仕に精神を集中させるという意味においては、とても懐の深い趣を宿した人に思えました。
まさにただ沈黙を貫く青い壺は、花器としては難しいかもしれないけれど、誰も傷つけず、そっと寄り添い、ただ静かな光を放つだけ。
自分なりの美学をずっしりと宿しつつも、決して声高に主張したりせず、触れる人をそのまま受け入れるような、こんな青い壺のように歳を取りたいものです^^;;。
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