2025年3月 8日 (土)

音楽教室からの徴収額

 先週、JASRACと音楽教室が、楽曲演奏についての徴収額で合意した、とのニュースを聴きました。
 2022年の最高裁判決まで、数年にわたって争われた問題ですが、その後も延々と話し合いが続いていたということでしょうか。。。
 自分としては、「生徒の演奏については、主体は生徒であって教室ではなく、生徒の演奏には著作権使用料はかからない」と理解してしまっていたので、「中学生より上は年間750円、中学生以下は100円」という記事を見て、一瞬「?」と理解に苦しみました^^;;。
 講師の演奏に対する対価であっても、生徒が聴衆にあたると考えて、その人数に応じて支払う…ということですね^^;;;。
 いまだ、「包括契約」した場合の分配については、まったく理解できていない私。。。
 額で折り合いを付けたことには納得しつつも、どうしても割り切れないのは、規模がある程度大きくないと、徴収コストに見合わないからお目こぼし…という不平等が解消できないことかもしれません(まぁLarge Entitiy,Small Entityという区別もあって然るべきなのかもしれませんが…^^;;)。権利者中心ではなく、客体中心で徴収されるところがなんだか割り切れない…。難しい問題だ。。。

20250301_8 【夜のジョガー】何の脈絡もありませんが、たまに夜の隅田川沿いを歩くと、多くのジョガーとすれ違います。さすがにもう、ジョギングする気は起きないなぁ…^^;;;

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2025年1月19日 (日)

Patent2024/12「女性初の知財関係者」

 昨年12月号の月刊「Patent」の巻末に、亀川先生の「女性初の知財関係者」と髙部先生の「女性初の知的財産高等裁判所長」というコラムが載っていました。昨年のNHKの朝ドラ「虎に翼」にちなんだ特別コラムでした。
 以前私自身、井上清子先生のことを独自に調べたこともあり、興味深く拝読。
 90歳で現役を退くまで、たゆまず仕事に取り組んでこられた上、62歳当時もまだ毎週土曜午後は大学に聴講に行っておられたそうで、本当に尊敬!(今の私は、コーネル大学鳥類学研究所に聴講に行きたい気分ですが…^^;;)。
 熱量のこもった文章で粘り強くクライアントの権利確立に尽力した、という部分、最近の私の体験とちょっとシンクロ。ちょうど数日前、事務所のボスが、未成年の特許出願の明細書について「出願人の熱量を活かす意味で、やや子どもっぽい表現も敢えて残した」とおっしゃっていたのを聴いたもので。。。
 アニメ監督の神山さんが"手描きアニメ"の熱量について語るのをTVでたまたま観たのとも重なり、「仕事にはやはり、どれだけ熱量を込められるかが大事だよなぁ…」と思った次第(^0^)。
 そして、髙部先生のコラムもまた、印象深く拝読しました。「紅一点」「女性初」という修飾語で彩られることの多い髙部先生は、私にとっては遠目に憧れる存在ですが、"知財に男性女性の区別はない。"という一文に強く首肯。むしろ知財が女性を解放してきたと思っています。

20250113_05  今、ちょっと女性裁判官や法学者の皆さまに伺ってみたいのは、不同意性交等罪等のこと…^^;;;。
 過日友人と他愛のないおしゃべりをしていた際、私が「あんな法律が出来ちゃったら、世の中の二分の一は犯罪者になっちゃうよね」と言ったら、友人が痛くたじろいで「そうでもないと思うけど…」と言って大笑いしたのですが、私が男だったら、同意書でももらわない限り、絶対に女性に手は触れられない…と感じています(苦笑)。感性はある種の衝動をはらみ、衝動には錯誤がつきものだから…^^;;;。知財は理性の世界、熱量は感性の世界。けれど、審査や裁判には理性のみならず必ずや感性や人情も影響すると思うから、意見書や弁論は難しい。
 未だヒジャーブを付けることを強いられる女性がいて、21世紀のCESに"AIガールフレンド"がまず登場する現実を見ても、ジェンダーの問題は理性だけでは片づけられないものだと感じています(今期の大河ドラマ「べらぼう」は吉原が舞台になってますが、昨今のホストクラブと照らしてみると、徐々に双方向化はしているのかなぁ??)。

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2024年7月30日 (火)

調査の果て

20240729  ここ二ヶ月位の間、あれやこれやの調査をこなすため、J-Plat Patと市販の知財DBを並行して使って、20件弱のレポートを書いてみました。最直近のレポートの、ボスからの評価は如何に(ドキドキドキ)…?!
(以下、ド素人の戯言です^^;;;)
 「干し草の山から針を探す」ーーー
 この諺を身をもって痛感したことはあまりありません。
 が、特許調査というのはまさにこの作業。。。^^;;;。
 しかも、やっと針らしきものを見つけ出しても、それが全てかどうかは、いつまでたっても分からないという悲劇。
 DBのバックグラウンドを知らないせいもありますが、同じ条件で検索しても、J-Plat Patの方が数多くヒットする場合や、市販DBの方が多くヒットする場合があったり、発明タイトルOnlyで検索しても、J-Plat Patではヒットしないのに市販DBではヒットしたり、、、とにかくドンピシャ一致することがなかなかないのも悩みの種。本来は、蓄積情報が一緒なら、どんなDBを使っても、同じ検索式なら同じ結果が出て然るべきですが、いろいろと裏設定が違うようで。。。
 しかも、明細書の書き手の思惑によっては、ほぼほぼ同じ内容であっても、使う用語や書きぶりが違うので、場合によっては通常の検索ワードだとすり抜けてしまったり…(それが目的なのかもしれませんが…^^;;;)。
 こうした漏れをなくすため、大枠で検索すると、当然ヒット数は爆上がりし、全件に一応目を通そうとすると、それなりに読み込まないといけなくもなる。。。
 また、参考図の取り上げ方も案件ごとに異なり、的外れな参考図が掲げられていたりすると、本当なら似ている内容なのに、参考図だけで判断すると全く違うものに見えてしまったり。。。
 とにかく、調べれば調べるほどド壺にハマる感じの厄介な仕事です。
 先行文献調査と侵害調査でも、視点が変わってくるし、クレームアップの可能性を考えると、請求項だけを観ていればいいわけでもなく。。。
 "「やれやれだぜ」 by 承太郎”な気分が当分続きそうです(T T);;;。
(そもそも、各企業ごとの特許戦略も時期によって変異していくものでしょうし、ウォッチングというのもなかなか長丁場で大変な仕事だと感じます)

【声の権利とモノマネと鳴管】鳥の囀りは、ヒトとは違って鳴管というものを使って成されると、つい最近知りました。そして、Netflixの「水曜どうでしょう」で大泉さんが福山雅治さんのモノマネをするのを大笑いで観ていました^^。そんな中、声の権利の記事を読み、イーロン・マスク氏のパロディ動画投稿に関する記事を目の当たりにしました^^;;;。単なる知識の記憶と蓄積のみならず、もはやモノマネやパロディまでもがAIにお株を奪われ始めているとは…。。。キビタキさんはセミの鳴き声を真似たりもしますが、AIさんがハリスさんのモノマネをするのは、上手すぎるが故に、さすがに笑ってはいられない事態なのでしょう。。。はて、AIの傍若無人はどこまで許されるべきなのか…?!

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2024年5月 7日 (火)

論文や査読や明細書と、OpenAI

 連休半ば、ボスから「この、すでに国際公開もされてる案件を読んで、まずは内容理解してみて」との宿題。
 ふと、ChapGPTにかけて、まずは誤植やスペルチェックの確認をしたい衝動に駆られましたが、ふと、「ChatGPTにかけることって、著作権法上の"公衆送信可能化"には該当しないのかな?」という疑問が…^^;;。
 夫からは、「最近の査読誌では、"査読の際のAI利用は禁止"というのもある」との話を聞いていたので、気になりました。
 そもそも、論文や明細書を書く際にも使われている可能性もある中、クローズドな有料のChatGPTサービス以外は、もしかしたら使わない方がいいような気もしてきます。
 またひとつ、"著作権とAI"にまつわる気になるテーマが浮上。。。
 やはり、恩師の近著を入手しないとかな~?

20240505 【『統計学の極意』】夫が先日購入したこの本も読みたいしなぁ…。時間が足りない…^^;;。
  こちらも…。

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2024年3月26日 (火)

知識と図書と図書館と…

 先週、本好きの友人からLINEが入りました。
「今、近所でよく行く図書館で、図書館アンケートが募集されていたんで、“高齢者向け期限管理サービス”のアイディアを自由記載欄に書いて出しておいたんだけど、採用されるといいな~」とのこと。
 要するに、独居老人の孤独死の早期発見のためのアイディア。
 何かと心配性の友人らしいな…とクスリと笑ってしまうと同時に、「Good ideaでは?!」とも思いました^^。
 地域の図書館の役割も、デジタル時代にはずいぶん変わらざるを得ないのでは…と常々思います。
 図書館大好きな私すら、近頃は、最新版の辞書を見に行くか、静かに読書したい時に机を借りに行くくらいで、図書館で本を借りることはほとんどありません(出版の世界で飯を喰わせてもらっていた手前、基本、本は買うことにしている…というのもありますが^^;;)。
 とはいえ、ブログやSNSでの情報共有には積極的なつもりで、zoopickerにはせっせと探鳥情報をアップしています。
 かつて、情報(知識)
共有のプラットフォームだった図書館が、インターネットにその地位をどんどん浸食されている現在、著作権の考え方も変化を余儀なくされるのでは…という思いは強くなるばかり。。。
20240320_8  そういえば、前職で知り合った方がFacebookで面白そうな本を紹介してくださっていたので、買い置いてあります。
 『知識コモンズとは何か』という本。さらに別の日、前職で同期だった方の本まで紹介してくださっていたので、「これも読まねば…」とメモしてあります。『デジタル時代の図書館とアウト・オブ・コマースをめぐる著作権法制』という本。
(むむ…、この知人は勁草書房の回し者か?!(^0^))
 前職でもいろいろ得たものはありますが、なにより、興味関心の近しい方々と知己を得られたのは最大の収穫♪ そして、もう一生会うこともないかもしれない人たちの活動を今もこうして垣間見られるのは、やはりインターネットのおかげ!
 こういう効果を得ると、人類の知性とインターネットが、巨大な頭脳のニューロンのように思えてしまうんですよね~^0^;!!
(2024年度からの国立国会図書館長に、女性館長就任)

Mine!】“所有権”について考える面白い本もでたそうな…。「地球は人類のみならず全生物の共有財産」っていう大前提の概念については書かれているのかな~…??

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2024年2月29日 (木)

令和5年不正競争防止法等改正説明会

20240224  先週、表題の継続研修必修科目をe聴講。
 知財一括法の改正として話題になった「ブランド・デザインの保護強化、デジタル手続整備、国際的事業展開の整備」に関して。
 以下、自分用メモ。(施行日はまちまちなので注意)
・不競法第2条1項3号(H5~)において、デジタル空間での形態模倣行為も防止(実質的同一)
 (電気通信回線を通じて提供する行為)も…/リアル空間とデジタル空間双方を規律対象に
・不競法第2条7項の限定提供データの定義の明確化(秘密管理性条件を緩和)
・不競法第5条1項の損害額の算定規定の拡充(ライセンス料相当額)
・不競法第5条4項の損害額の算定規定の拡充(ライセンス料相当額)
・不競法第5条の2の営業秘密の不正な使用等の推定規定の拡充(技術上の秘密)
 (元々アクセス権限のある者や、不正経緯を事後に知った者にも推定)
・不競法第21条等の外国公務員贈賄に対する罰則強化(外国人従業員が海外で贈賄の場合も)
・不競法第19条の2,3の営業秘密侵害事案における手続の明確化
・商標法第4条等の、商標におけるコンセント制度の導入(混同を生じるおそれがない場合)
・  〃    他人の使命を含む商標に係る登録拒絶要件の見直し
・意匠法第4条等の、登録手続の要件緩和(最先日に公開した意匠の証明書提出で)
・特許法第186条等の、裁定における営業秘密を含む書類の閲覧制限
・特許法第191条の、 国際郵便引受停止等に伴う公示送達の見直し
・工業所有権に関する手続等の特例に関する法律の、第5条のオンライン送達制度の見直し
 (10日間受取なしで、送達したとみなす)
・      〃          第8条等の書面手続のデジタル化のための改正(PDF形式も)
・商標法第68条の2等の、e-Filingによる手数料納付方法の見直し(一括でWIPOにスイスフランで)
・優先権証明書のオンライン提出のための規定整備(写しも可)
・特許法第195条の2等の、手数料減免制度の見直し(件数制限を設ける)
●「特許出願非公開制度」…ちょっとミソがついた…、令和6年5月1日施行~
・経済安全保障推進法に基づく
・第65,66,67条(非公開、スクリーニング←特許庁、保全審査←内閣府)
・意思確認の後、出願取下も可→保全指定→指定解除
・第70,78,80条(保全指定、外国出願禁止、補償)
・保全審査は出願日から10カ月以内に結論が出される
特定技術分野(1~25、政令でIPCで指定)と付加要件(防衛・軍事、国又は国研、国の委託等)
・過去の特定技術分野の対象案件は300件/年ほど
・外国出願禁止に関しては代理人も要注意(事前確認:25,000円、クレーム記載不要):10開庁日程度で判断
 (白黒ハッキリさせたければいったん出願すべし)
・保全審査に付される場合は出願日から3ヶ月以内に必ず第66条3項の通知が届く
・保全指定の解除・期間満了後に優先権主張して外国出願するのは、タイミング的に難しくなる…?!
・保全指定されるのは「発明」単位(「出願」単位ではない、公開や査定は出願単位なので分割対応等)
・優先権証明書の発行留保(審査中は全体マスク、保全指定中は黒塗り状態で発行)
 (↑ 全マスク状態でも優先権が認められる??!)
・DASの発行自体、上記の留保が行なわれる(問い合わせなくても庁から事後通知)
 (保全指定されてしまった場合は、庁に要請求)
・US,EP,CN.KR等は優先権証明書は優先日から16カ月以内に可のため、保全審査後でも…
・保全審査に付することを求める旨の申出は、出願とともに提出(オンラインで可能)
〔解説:特許出願の非公開に関する制度 - 内閣府 (cao.go.jp) 、IP ePlat


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2024年2月16日 (金)

コンセント制度の導入と氏名商標の要件緩和

 先日、表題の内容に関するWebinarを聴講。
 ここしばらく、「商標法第3条の趣旨に反する拒絶理由」の復習をしていたところだったので、事業拡大・事業転換や吸収合併等、流動的な時代の商標まわりの、ユーザーフレンドリーな改正はしっかり押さえておきたいところ。
 コンセント制度については、かねてより希望していたので、細かい点をしっかり押さえるべく、集中集中! 以下自分用メモ。
・①4条1項8号「他人の氏名を含む商標の登録要件緩和」
・②「他人の先行登録商標があっても併存登録を認めるコンセント制度」導入(4/1~)

・"他人の氏名”と出願人の相当関連性があること、不正の目的がないこと
・有名な他人の承諾or無名な他人がいても不正目的がなく相当関連性があればOKに
・"一定の知名度”→その分野において,需要者の間に広く認識されている氏名("広く"のレベルは高くはない)
・外国人の氏名の場合、ミドルネームの有無で適用の厳格さが変わるのは検討課題(※)
・氏名商標が増えていくことで、フルネーム同士や姓との4条1項11号の類似判断の予測可能性も検討課題(※)

・先行登録権利者からの承諾 and 混同を生ずる(広義の混同の)おそれがない場合
・査定時を基準に、将来にわたっても混同を生じないこと(※将来…は担保しきれない)
・完全型コンセント制度より需要者保護のハードルが高いため、今度の判例集積に注目

【AIと著作権パブコメ】一方、"「AI と著作権に関する考え方について(素案)」に対する意見"という声明が、有志の先生方から公開されています。法は社会を自由にもするし縛りもする…ということでしょうか。。。

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2024年2月10日 (土)

著作者人格権…

 ここしばらく、痛ましいニュースを巡り、様々な声を耳にします。
 著作権と著作者人格権とビジネスをめぐる多角的な問題だし、当事者でもないので、ただただ事の成り行きを見守っています。
 出版権を預かる者の迷い、原作者の血の滲むような創造、脚本家の四方への配慮とオリジナリティ、ビジネスとして成功させるための関係各所の努力…どれも理解できるがゆえに、今回の不幸は尚更痛ましい。。。
 肝に銘じなければならないのは、著作者人格権は絶対だということ。
 ただ、その権利の受け止め方や考え方は、著作者によっても様々だし、時と場合によっても変わって来るということ。
 そして、著作者人格権のうちの同一性保持権と、著作権における“翻案権”とは、著作者視点の権利であって、作り変える側にとっては“改変”や時に“創造”であるケースもあるということ。
 世の中の多くの著作物は、往々にして入れ子構造やモザイク構造になっていて、もちろん核になる著作物はあるにせよ、いろんな創造性がそこに付加されていく。。。また、世の中へ発信・頒布していく術をもつ者の影響も、ビジネスとしては看過できない。。。
 だからこそ、核たる著作者の声を丁寧に拾い上げて、出来るだけ尊重する姿勢を貫く代理人が必要なのだけれどーーー。
 こうして見ると、創造物って本当に“子ども”みたいだなぁ…と思います。
 産み落としたが最後、親の与り知らぬあらゆる環境が“子ども”に影響を与え、やがては一人歩きを始めてしまう。
 どこまで行っても“子ども”は“子ども”なのだけれど、“子ども”にも確固たる人格が備わって、親の出る幕がなくなってくる。。。
 編集者時代は、この親子関係を良好に保つために常に四苦八苦していたわけですが、関係各所の尽力で“子ども”がビッグになればなるほど、親の声が届きづらくなる皮肉。。。
 それでもやっぱり、親がいなければ子どもは生まれなかったんだよねーーー





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2023年12月10日 (日)

「属地主義と知財権の越境侵害」

 過日、弁理士会主催の研修会直後に行われた表題のWebinarを聴講。
 知財法における属地主義の意義を明らかに…との概要説明を読んで、すかさずポチッと参加申し込みしてしまいました。特・意・商・著の各分野の裁判例を挙げて解説してくださるようでしたが、個人的にはChatGPTや生成系AI,メタバースでの問題にどう敷衍出来るのかに注意して聴きたいと思いました。
 属地主義については、BBS事件・カードリーダー事件・LANCASTER事件等の判旨が示されますが、インターネットの所期思想と照らし合わせると、どうしても現実との齟齬を感じざるを得ません。以下、ご講演を聞いての自分用メモ。
・コメント配信システム事件(越境システムでも生産・実施該当となる場合もあり、総合考慮)
・コメント表示プログラム事件(実質的かつ全体的にみて国内で行われたものと評価できれば提供該当となる場合もある)
・インターネットサーバのアクセス管理・モニタシステム事件/電着画像の形成方法事件(越境提供と使用の対比案件)
・輸入に関する商標法・意匠法のR4改正
・WIPO著作権条約8条はアンブレラソリューションで各国それぞれ採用
・ファイルローグ事件(サーバは国外でも…)
・特許権の属地主義の問題回避のために、クレーム手法も工夫されている
・まだまだ予測可能性は低い??
(貴重なご講演の後の恩師のコメントがまた面白く、裁判官と学者と実務家の事件の見方や役割の相違を感じつつ、ご講演者の弁護士先生の日頃の実務要請と、大合議での裁判体の慎重な総合考慮との、考え方のコントラストを浮き彫りにしてくださり、勉強になりました。法のグローバリズムvs.司法小国主義の様相、興味深く拝聴しました、ありがとうございました!)

 ChatGPTのサーバがどこに設置されているのか、私は正確に把握していません。莫大なエネルギーと水とを要するIT事業で、それらの負荷を背負いつつ、当然のように世界展開をデフォルトで考える場合、上記のような各国法のクリアランスは、誰がどう事前検討しているんだろう…? イケイケどんどんの起業家のもと、日夜調査研究を続ける法実務家の皆さんを取材したドキュメンタリーとか、ないかな~(^0^;;;??
 夫が、OpenAIに月$20納めた上、Mathematicaと連動させるにはさらにサブスク的に料金が必要みたいだ…と嘆いていましたが、そもそもの学習データ等の著作権についての話はあまり聞きません。今世界では、国境をめぐる争いが顕著に目に見えていますが、地勢のみならずいろんな分野で、国境を意識せざるをえない時代ですねぇ…。。。

20231207 【ビーフシチュー】この日は2つのWebinarを立て続けに4時間ほどぶっ通しで視聴したのですが、その間+αの時間、牛スネ肉のシチューを煮込み続けていたら、翌晩、絶妙のホロホロ具合になりました♪

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2023年11月 5日 (日)

「AI時代の創作と著作者人格権」

20231023_03  今夏、トム・クルーズの「MIP2」の撮影延期が発表されましたが、ストライキの一因にAI技術導入への不満もありました。
 そんな中、表題のWebinarを聴講。
 著作者人格権にはかねがね関心がありますが、AI 華やかなりし昨今、著作権まわりでは最もホットな話題と言っても過言ではありません! 一人の人間が何千年もかけて学ぶことを一瞬にして身に付けてしまう超人AI の出現に、旧態依然とした人類が目を白黒させているのが現状です。
 講演者は、カリフォルニア大学デービス校のRajan教授(ArtisticなProfileページが印象的! ピアニストであり作家でもあるそうです)。ご講演のタイトルは「Authorship and Moral Rights in the Age of AI」でした。以下、自分用メモ。
・著作者人格権の起源は1709-1710年のアン女王法、1774年に判断が覆されたものの、やがて広範に広がりベルヌ条約へ…
・著作者人格権("Spiritual Child")はデフォルトで存在する(米国では制限あり:職務著作…日本・韓国・インド)
・著作者人格権=オーサーシップ=能動的な創作行為
・AI生成物を職務著作物とみなそうとする動きあり(AuthorshipとOwnershipが混乱)
・「誰がクリエーターなのか?」「誰が利益を得るべきなのか?」
・英国のみAI生成物に著作権を認めている(50年)
・登録制度の残る国も(米国・韓国・インド)、EUのAI規制法案
・著作者認定は現状、ケースバイケース、作品次第、リスク有無の観点での判断

 個人的には、「何をもってオリジナルと言うか?」とか「集団知の発露と個人知の発露のちがいは?」という疑問が拭えずにいます。
 いずれにせよ、著作者人格権に対する考え方は、国によっても時代によっても異なり、職務著作の力が強めの日本においても、「AIの遺伝子」や「PLUTO」等の傑作SFにも見られるように、若い人ほど、
人と機械(やデジタル創作物)の境界に揺らぎを抱いているように感じます。シェア世代は個人所有の欲求が低いとか…? ともあれ、今世紀かけて議論され続けるテーマですね! 貴重な機会をいただき、ありがとうございました。

壊れた魂】今、私が一番読んでみたいと思っている書籍。“協働”ということを考えることで、著作者人格権についても考えてみたいと思っています。

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