2023年3月15日 (水)

恩師 最終講義

 先週末、大学院で大変お世話になった恩師の最終講義というビッグ・イベントがあったのですが。。。
 なんと、前日の晩に発熱した夫のコロナ感染が当日に判明し、最終講義に伺えなくなってしまうという大々ハプニング(泣)。
 講義のテーマは「裁判官として17年間、学者として28年間を語る」ということでした。
 あぁ…、聴きたかった。。(T T)
 まさに、コロナ恨めしや…。
 幸い同期の方が、会場の様子などをLINEにアップしてくれていたので、雰囲気だけは味わうことができましたm(_ _)m感謝感謝。
 ともあれ、45年間本当にお疲れ様でした! ご退職とはいえ、今後もあちこちから引っ張りだこなのは間違いなし! これからのご活躍もお祈りいたします。

20230314_4 20230314_1 20230314_2 20230314_3 【大分到着じゃ】上記の恩師は鉄道好きなことで有名で、日本全国の様々な路線を踏破しておられる模様! そして目下伊能忠敬万歩計で日本周回に挑戦中の私は、昨日大分に到着~。気分転換に蔵前神社の満開のミモザを見に行って距離を稼ぎました^^;。次は広島まで587km~!

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2023年3月 3日 (金)

他人の氏名等を含む商標の商標登録について

20230218_01  先月末、表題のWebinarを聴講。
「他人の氏名を含む商標の登録要件緩和」については以前から気になっており、いいタイミングでの聴講です。
 弁護士先生が、商標法第4条1項8号を、人格的利益保護の観点から解説くださいました。
 漢字と“かな”の名前において、同姓同名が発生する割合を調べたおもしろい研究があるようですが、10万人以上の集団では10%ほども同姓同名が発生する可能性があり、1千万人以上ならほぼ確実に同姓同名が発生する模様…?!
 ところが、商標法では「他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)」は登録を受けることが出来ません。自分の名前を商標に含ませたい場合等、同姓同名のすべての人から承諾を得ない限り拒絶されるというのは、“出願人に厳し過ぎるのでは?”というコンセンサスが醸成されてきた結果、昨年から、要件緩和が検討され始めたとのこと。
 つい先日、戸籍法改正の要綱案が示されたばかりですが、このネット時代、キラキラ・ネームはいざ知らず、子どもの名付けの際にはやはり、一度はサーチをかけるものでしょうが、世界に唯一無二の命名をするのは至難の業。
 日本以外の主要国の多くでは、他人の氏名と同じ出願であっても、その他人の氏名が“知名度”を得ていなければ、登録を許容する傾向があるそうで、「同姓同名は一定程度存在するものだ」という認識のもとでの制度設計になっているということでしょう。海外では、スターの卵の名前等についての濫用的な出願がないのか、そんなケースがあった場合、事後的にどんな対応がなされたのか…を知りたいと思いました。
 あと気になったのは、“歴史上の人物”について。ネット時代は、一般人でもある程度“名を遺す”ことは出来るような気がするのですが、デジタルアーカイブ時代の“歴史上の”とは何なのか? 4条1項8号は基本的に現存する人物に限られますが、名声ある故人名については7号の公序良俗違反が用いられることが多いものの、ネットに溢れる個人名や略称等の“周知・著名”の判断も、次第に難しくなるような気がするのでした。。。
 

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2023年2月17日 (金)

審査請求制度とPPH

 パイロットプログラムとして始まった、各国特許庁間での早期審査のための仕組みであるPPH(Patent Prosecution Highway)。
 スピード感を求められるビジネスの現場に直結する案件に関しては、利用されることが多いのだと思います。
 日本で特許可能と判断されたなら、引例を全世界の文献から引いている以上、他国でも特許可能と判断されて然るべき、という建て付けです。
 が、そこはそれ、審査官殿の判断によって多少の揺れはあるのでしょうから、「絶対OK」とは言い切れないものの、審査の効率化にはかなり有効なのだろうと拝察します。
 で、かなりの国では審査請求制度があり、審査が始まる前であれば(始まってからでもOKな国も…)、要件を満たした出願にはPPHが利用できます。
 では、審査請求制度のないアメリカではどうでしょう? 優先審査制度を利用しない通常出願であれば、出願からおおよそ数ヶ月後に審査が始まると見積もって、出願と同時か、そこから1~2ヶ月のうちなら、PPHを申請できるのだろう…と思われます。
20230210  経験が浅いので、このあたりのことが恥ずかしながらまだよく分かっていないのですが、フランクに、「審査始まってませんか~?」と確認することは出来ないのかな?というのが素朴な疑問。出願人と審査官の双方にメリットのある制度を利用するのだから、それくらい教えてくれてもいいんじゃ…という思いと、どっちみち各国の経緯も審査の参考にするのでは…という思いが渦巻いてしまいます^^;;;。
 審査経過でなく、J-Plat Patの商標のステータス表示のように、審査の開始を知るすべがあるなら知りたいです~m(_ _)m。

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2023年2月 7日 (火)

Orphan works 二次利用促進へ

 先週、「権利者不明のドラマや動画、二次利用促進へ法改正」とのニュース
 また、文化庁委託事業として、「現場で使える契約講座」なる研修資料も公開されているようです。本資料は、コロナ禍で予期せぬ事態に見舞われた、立場の弱い舞台芸術関係者のために構成されたようですが、「あらゆることを想定した契約」という観点では、汎用的に勉強できるような気がします。
 弁理士会でも、文化庁が作成した「著作権契約書作成支援システム」の使い方講座が企画されたりしています。
 権利を適正に守るという観点では、最大公約数的な契約書雛型がしっかり公開されていた方が、“不要な条件だけ抜いていく”という方法で、漏れのない契約書を誰でも作れて便利ですね^^。
 広末涼子さんが出演しているLegalForceのCMで、「“及び”“並びに” LegalForce」と言われるたびにゾワゾワしてしまう人を減らす意味でも、上記のような取り組みは歓迎されることでしょう~^0^;;!

20230206 【家ラーメン】 “横浜家系ラーメン”が流行って久しいですが、私は未だ食したことがありません^^;;。もっぱら“家ラーメン”(苦笑)。

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2023年1月12日 (木)

「音楽教室事件最高裁判決を語る」

 昨年末に明治大学で行なわれた「音楽教室事件最高裁判決を語る」というシンポジウム。聴けなかったのがずっと残念で心残りでした。けれど、なんと昨日、動画公開のメールが?!! ウォーキングに出るのを断念して、早速視聴♪
 理論家・実務家の先生方や、意見書を書かれた大御所の先生も列席された、本当に一般人が聴いても刺激的な内容です。論旨を整理しようかと思いましたが、動画そのものを観ていただくのが一番だと思い直し、リンクを張るにとどめます。“藝術教育における著作権”について関心のある方には是非、ご覧いただきたいと思います! "総合考慮"というのは正しいけれど厄介、というのは、日々感じるところですが、"主体","目的","公","管理性","利益性"など、まだまだ議論は尽きない模様です。
 法律や裁判に直接かかわらない一般の人でも、もはや生きている限り関与せずにはおれない著作権について、もっと色々な人の考えが聴きたい!
  →〔シンポジウム動画はこちら
(2時間半くらいあると思いますが、最後の中山先生のご雑談まで、存分にお楽しみくださいませ^^)

【うさぎや】20230105 先週の仕事始めの日、お客様から、うさぎやの“どら焼き”を頂きました!
 日本橋にあるうさぎやの前は、いつも行列していますが、上野のうさぎやも同様のようですね。
「一度食べてみたい!」とかねがね思っていましたが、いつ行っても「売り切れです」と言われるばかりで、未だ食べたことがなかったので、すごく嬉しかった~♪
 当日に焼かれたもので、手に取った時はまだほんのり温かみが残っていたような。。。
 皮がふんわりと柔らかく、素朴な甘さ。餡子はやさしい味。。。出来立ては旨い♪♪ 行列が出来るのも頷けます。
 夫と息子にもお裾分けをいただき、半分こして食べさせてあげました^^。二人とも、行列が出来るお店だということを知っていたせいか、なんだか神妙に、じっくりと味わいながら食べているのが可笑しかった(笑)。ご馳走様でした!
 

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2022年12月19日 (月)

『知的財産法学の新たな地平』

20221210_1 20221219  本日、かつてお世話になった知財法の恩師の古稀記念論文集発売予定。
 (「クロサギ」ではないけれど)一時、法律に失望感を強めていた頃、この恩師が関わられた裁判解説を読み、考えを改めた、という奇縁があります。その後奇遇にも、大学院でもお世話になることとなり、色々な刺激をいただいた貴重な存在。
 なかなかお会いする機会はありませんが、陰ながら古稀をお祝いしたいと思います。おめでとうございます!!

【家庭内W杯予想】サッカーW杯、ついに決まりましたね! メッシ、すごかった! 出場選手の皆さん、お疲れ様でした~。

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2022年12月12日 (月)

中国商標の類否判断の基本

 先週、表題のウェビナーを聴講。講師は中国の弁護士先生。以下、自分用にメモ。
・商標ブローカーで、1日に5,000件以上の出願をした会社がある(が、すべて拒絶)
・類否判断より、不使用で取消になるケースが多い
・商標審査審理基準(2005)→商標審査審理指南(2021)
・商品は「類似商品・役務区分表」を参照、区分表+認可名称リストから選定した方がよい
・外観・称呼・観念・配列等による類否判断、日本と似ている部分が多い
・が、結局のところ、審査官ごとの判断で揺れる
・“関連公衆の一般的な認知能力は、日本より低く設定
・ピンインと漢字が同じでも非類似(ピンインには複数の漢字が対応するから)
・簡体字と繁体字は類似
・CとKの発音は同じ
※併存登録同意書による登録は、2021年から厳しくなった 
※アサインバックは不可(一括譲渡が原則だから)
・日本はデザイン違いで登録になることがあるが、中国は厳しい
・「電子応用機械器具」にソフトウェアは含まれない
※取下や拒絶の商標もデータベースに残る
※不服審判は半年ほどで結論が出るが、取消審判には9カ月ほどかかるため、併用は注意

 たくさんの審決例を示して分かりやすく解説いただきました。
 現状、中国で登録可能性を高めるには、
・接頭文字の調整・設計変更等でできるだけ先行商標を避ける工夫をする
・審査中、単に非類似の反論をするだけでなく、不使用取消等も併用する
といった対応が考えられ、事前の検討で確実性を高めておくとよいようです。

20221209_6 20221211_5鎌倉殿の13人】寒い冬の平日、一人で食べる辛麺と、休日の夜、家族でのんびり食べるタコライス。
 昨夜、夕食を早々に済ませてじっくりと堪能した“鎌倉殿の13人”。すごく良かったです。
 政子の演説ももちろん良かったのだけれど、政子や太郎の言葉を背中で聴きながら流した、義時の一筋の涙が見事でした。鎌倉のために長年自分を押し殺し、まつりごとを俯瞰し続けた彼が、一瞬でもタガを緩め、報われた瞬間でしたねぇ(T T)。来週はいよいよ最終回!!

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2022年12月 5日 (月)

心訓で考える知財の本懐?

 我が家のリビングには目下、「心訓」という七箇条の訓示が貼ってあります。
   20221125
(この「心訓」の、真の著作者の生死も、揮毫者も不明のため、題字と署名部分のみ一部掲載)
 高校時代の友人が、健康食品と一緒に送ってくれた資料の中に入っていたものです。
「福澤諭吉」と署名してあるので、てっきり福澤先生の言葉だとばかり思い、ありがたがって貼っていたのですが。。。

 先月ふと、「どういう経緯で書かれたのかな?」と思い、「心訓」でググってみたところーーー
福澤諭吉研究者の富田正文氏はこれを、「偽作である」とはっきり断言されているのだとか??!
福澤諭吉全集附録に記された、その偽作指摘の文章がまたフルっているのですが^^、結局のところ、いつ・誰が、何の目的で作成したのかは、未だ不明とのこと。
 小説家の清水義範氏によれば、諭吉先生が自身の子息に向けて書いた「ひびのおしえ」の中に、以下のような「おさだめ」があったのだとか…。
一、うそをつくべからず。
一、ものをひらふべからず。
一、父母にきかずしてものをもらふべからず。
一、ごうじゃうをはるべからず。
一、兄弟けんくわかたくむよふ。
一、人のうはさかたく無用。
一、ひとのものをうらやむべからず。
(Wikipedia「福澤心訓」より)
 おそらくは、これを元に誰かが七訓を万人向けに書き換えた上、諭吉先生作として広めたものと思われます。実際、「福澤心訓」とも呼ばれているのだとか。過去には「心訓」を額装して販売する業者もいたというから、真の作者はいわゆるゴーストライターとして著作権を放棄し、業者丸儲けだったのか…?!等と邪推してしまいます(苦笑)。
 書かれていることは至極まっとうで、「心訓」の名にふさわしいものなのですが、これがもし、どこの馬の骨とも分からぬ人の署名だったら、果たしてここまで世の中に広まったのか…?と考えると、同じ言葉でも、“誰の言葉か”というのが重視されているのが痛感されます^^;;。
 美術品や文章の鑑賞においては、「“誰の作品か”をありがたがる」作家推しのケースと、「作者が誰であれ“イイものはイイ”」という作品推しのケースの両方があるように思いますが、“世に広めてこその知財”という視点では、この「心訓」は本懐を遂げていると言えるのでしょうか…??(そうは言っても、諭吉先生にとってはやはり傍迷惑な偽作のままでありましょうが…)
 著作者人格権は、決して著作物から切り離されることはありませんが、今回のことで、「やはり無記名の“ゴースト”は誰にとってもNGだし、ましてや他人の名を騙るなんて、あってはならないことだよな」と思ったのでした^^;;;。

学問のすゝめ】今年は『学問のすゝめ出版150周年

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2022年12月 2日 (金)

著作権 類似性/依拠性

 巷では、(TV CMも打ち始めた)SHEINなるファッションブランドのパクリ疑惑取り沙汰されていますね^^;;。
 パクリとは違いますが、少し前、お世話になっている仕事先の先生と、侵害性談義。詳しくは書けませんが、かねてよりの問題意識を彷彿とさせられたので自分用にメモ。
 検討の概要は以下。
   20221122_9
 Aという、商標権・著作権のある描画があり、
 Bという、後発の他人の描画がある。
 Bの一部に、通常の目視でAと類似すると分かる描画があり、Aに依拠しているのは明らかであるが、AとBの全体を対比すればまったく非類似と考えられる。

 Bの中にあるAと類似の描画は、商標的使用態様とは言えず、商標権は非侵害。では、著作権については??
 大学院時代の恩師が、「このAがドラえもんの顔だった場合、BはAの著作権を侵害するか?」という問題を出されていたのを思い出します。
 著作権侵害に係る裁判例はたくさんありますが、①利用行為があり、②依拠性があり、③類似性があれば、とりあえず侵害が疑われることになります。ただ、この中でも特に③の類似性をめぐる議論は難しく、“創作的表現”を(a)一元論で見るか(創作的表現の共通性があれば類似性が肯定される)、(b)全体比較論で見るか(創作的表現の共通性があっても全体として色褪せていれば類似性が否定される)で判断は分かれるし、“創作的表現”の判断手法としても(i)二段階テストと(ii)濾過テストで判断順序が変わり、判断も変わる可能性があるのです。
 法律の専門家の間でも判断が分かれる問題を、一般的な創作者がどう考えるか、どんな説明なら納得感を得られるか、も難しい。
(個人的には、モラルと、デザイナーさんのプライドの問題だと感じますが、日本にもこんな時代が…^^;;)
 幸い、仕事先の先生と検討したケースでは、その他の経緯や関係者間の関係性など追加条件が多く、ビジネス上、取るべき対応も比較的明らかでしたが、上記例くらい抽象度が高まると、おいそれとは「非類似だからOK~」とは答えられません。
 自分がビジネスの当事者なら、とにかく石橋は叩いて渡りますが、世の中意外に「OKOK」と楽観視する人も多いようで、自身の小心者ぶりを痛感させられます^^;;;。(クリエーター寄りの仕事をしていた頃は、法務部の慎重さに辟易していたものですが、、、^^;;)

 

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2022年10月26日 (水)

音楽教室著作権料事件 最高裁判決

20221023_1 20221023_2 20221023_3  今週頭に示された、表題事件の最高裁判決。まだ判決文は読めずにいるので、どんな理由付けによる判示かは把握していませんが、報道から概要は把握しました。
 自分なりの問題意識で、長く見守って来た問題だけに、少なくとも「生徒の練習演奏」に関しては、“練習演奏の主体は生徒”という判断となり、ベストな落とし所に納得感を抱きました(AntonMamaさん、長期間の形勢ウォッチ、お疲れ様でした!)。ただでさえ子どもの教育費に汲々とする親たちが、「来月から月謝は500円上乗せになります」とか言われずに済みそうでよかった^^;!
 今後は、ロイヤリティの適正性の交渉になるのでしょうか…。どんぶり勘定でない、細やかな著作権料の徴収と分配の仕組みの構築が待たれますね。ネット決済の力はまだ、こうした著作権管理の分野では威力を発揮しきれていないのでしょうか…。
 ともあれ、判決文公開後の法律家の先生方の講釈を待ちつつ、今回の判決が、教育業界にどんな風に波及していくのかを注視したいと思います。
(そんな中、上記判決とバータなんじゃ?と思ってしまうようなタイミングで、著作権法施行令が閣議決定^^;;。補償金の分配明細も見てみたーい!)

ラブカは静かに弓を持つ】Twitterで、今回の訴訟がらみで紹介されていた本。JASRAC職員が音楽教室にスパイに入る…とか概要には書いてありますが、胸を打つ佳品だとも。。。読んでみたい~♪

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