2017年5月30日 (火)

特別展「茶の湯」

20170526_2  東京国立博物館の特別展「茶の湯」が、6月4日までということだったので、先日急遽、雨のそぼ降る中、一人で鑑賞に赴きました。お茶のお作法も不確かなら、陶芸の素養もありませんが、二十年以上昔に観た“長次郎の黒楽”には、不思議な魅力を感じていたため、「また会えるかな??」と思いながら。。。
 いやぁ、眼福眼福♪ 以前は、国立博物館で観た一点モノに対して「黒楽、いいな~」という程度の認識でしたが、今回は長次郎作品が一か所にまとめられたものを、一気に賞翫できました! 今回の鑑賞で、「赤楽茶碗 無一物」「黒楽茶碗 利休」「黒楽茶碗 俊寛」の3つに特に感動。また、「竹茶杓 ゆがみ」という、千利休作の茶杓も面白かった!
 様々な著名人の書状も展示されていましたが、なんとなく、一休宗純と千利休の両筆跡に、似た雰囲気の大胆さとバランス感を感じました。青磁とか志野茶碗にも素敵なものがたくさんありましたが、やっぱり好みは“侘び茶”の時代。なんというか、華美でない男の喫茶去精神、萌える~!! 無理して行った甲斐がありました

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2016年12月30日 (金)

ラスコー …2万年前の芸術

 “美しさ”って、一体なんだろう――?
 年内最後の芸術鑑賞は、カハクの「ラスコー展」となりました。3次元レーザースキャンという技術のおかげで、本物と見まがうほどの臨場感を持って、ラスコー遺跡の内部が再現された展覧会。2万年前のクロマニョン人が描いた素晴らしい壁画は、時間を超え、現代人にも“美しい!”と思える筆致でした!
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 ジョルジュ・バタイユは、ラスコー壁画を“芸術の誕生”と称し、数多くの壁画を研究する五十嵐ジャンヌ氏も、「数々の壁画の中で、最高の芸術性」と讃えるほど、見事な構図と技法の数々! 200mにも及ぶ、暗くて長い洞窟の中で、手製のランプを灯しながら、彩色し、線刻し、何を思いながら数百頭もの動物たちを描いたのか、、、。素朴な色と大胆な構図が、本当に美しく、味気ない土色の洞穴が、巨大で艶のあるキャンバスになったかのようでした。

20161227_5 20161227_6_220161227_7_2 おそらくは、複数人で手分けして描いたのでしょうから、当時この洞窟に住まったクロマニョン人の皆が皆、絵心があったのか。。。? はたまた、レンブラントの頃の工房のように、指導的立場にある芸術家肌の親方が先導していたのか。。。?
 今となっては知る由もありませんが、つくづく、アーカイヴの大切さを切実に感じさせてくれる展覧会でした。

 …と、2016年をキレイに納めようと思いつつ、「ラスコーがラスト~」とかいう心の声で現実に戻り、「あ、ラストは出願ソフトupdateと筑前煮・栗きんとん作りだった…」と我に返った私でした(築地場外市場にも行きたいな…笑)。

20161230_120161230_2  【お正月準備進行中!】 栗きんとんは完成! お煮しめは材料準備完了して、目下グツグツ煮込み中♪

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2016年6月 6日 (月)

「COPENHAGEN」

20160604 土曜日、夫と二人、世田谷のシアタートラムで「COPENHAGEN」という対話劇を観てきました。第二次世界大戦中の1941年9月のある一日、ドイツのハイゼンベルクが、コペンハーゲンのニールス・ボーア夫妻を訪問した際に、どんな会話がなされたかをめぐって、今は亡き3人が回想するという対話劇。段田安則さん・宮沢りえさん・浅野和之さんら3人が、2時間強の時間をただただ会話だけで不思議空間へと誘ってくれたのでした。
 核物理学者らによる原爆開発について、おおよその概略は知っているつもりでいても、いざ細かい点を確認されると、かなりあやふやだったことが痛感され、夫と話しても埒が明かないことに愕然としました。
 当時の世界で、開発の命運を握っていた2つの頭脳が、あの頃どんなことを考えていたのか、今となっては知る由もありません。この戯曲は、イギリスのマイケル・フレインという劇作家によって書かれたものですが、まだ公開資料も少ない時代に書かれたことを考えると、どこまで真実を反映しているのかはわかりませんが、印象的で重たい作品だったことは間違いなく。。。
 真実がどうあれ、私の中でハイゼンベルクはヒーローですが、もし彼が、猛然と開発に没頭していたら、今頃世界はどうなっていたのか、、、。
 なんとなくキナ臭い昨今の世界にあって、当時の状況把握を更新しておきたいという気持ちに駆られ、翌日、『原子爆弾 1938~1950年』という本をamazonで注文しました。読み切るには時間がかかりそうですが、その感想はまた後日。

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2014年5月22日 (木)

Computer…

 VAIOショック冷めやらぬ昨今ですが、友人がこんなビデオをFBで紹介していたので転載。

The machine that change the world 1
The machine that change the world 2
The machine that change the world 3
The machine that change the world 4
The machine that change the world 5

1本1時間近い映像なので、とても「観て!」とは言えないですが(私も3までしか観ていません…汗)、感慨深いものがあります。。。コンピューター開発の歴史にも感動するのですが、個人的には、これだけの古い映像をよくぞ集めたものだと、制作者の執念を感じて感嘆しました(笑)。

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2013年3月22日 (金)

i Watch ってどんなの?

 Apple の i Watch なる製品がアナウンスされてずいぶん経つけれど、一体どんな代物になるんだろう?と思っていたら、時折拝読する方のブログに、こんな記事があった。
 腕時計状のものならいろんなデザインが想像できるけれど、もし出来たら画期的だなと思ったのは、外した状態ではプレート状になるかもしれないというデザイン。金属製メジャーのように、巻いた状態では丸まっていても、伸ばした状態では平面的に固定できるようなイメージ? スマフォ状で使っていたものを、クルリと手首に巻いておけたら、いちいちカバンやポケットに入れなくて済んで便利だろうなぁ~と常々思っているので、そんな使い勝手を期待してしまう♪

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2013年2月20日 (水)

書聖 王羲之

20130219 小雪のちらつく中、昨日は朝一から両親と上野の王羲之展へ。書の良し悪しがわかるほど書道に勤しんできたわけでもないが、小さい頃は毎年武道館に書き初めに行っていたくらいには親しんできたから、王羲之の摸本は是非観たいと思っていた。また、父は長年我流で墨・硯に慣れ親しんでいるし、母の若かりし日の趣味の一つは全国各地へ拓本を取りに行くことだったそうだから、これまたもってこいの展覧会。
 楷書、行書、草書、隷書、篆書など、さまざまな書体が会場を埋め尽くしていたが、なんといっても草書が素敵! 恥ずかしながらこのたび初めて、王羲之が草書の目標としたといわれる張芝(ちょうし)という書家を知った。王羲之も張芝も、並々ならぬ修練で道を究めようとしていたことがうかがわれた。
 数々の「蘭亭序」を見て、歴代の粋人がいかに王羲之を愛してきたかが実感されるとともに、王羲之の人柄にすっかり心奪われた。蘭亭の雅宴で王羲之が作った2つの詩の内容と、「蘭亭序」の現代語訳を読んで、字の美しさのみならず、彼の心根の堅苦しくないバランス感と温かみ&大局観がしみじみと感じられ、1600年以上の時を超えて共感した感じ。
 あちこちに“こぼれ話”が紹介されており、13歳くらいまではおとなしくて目立たない少年だったとか、飾らない性格だったとか、ガチョウや真珠が好きだったとか、15~6人の子や孫がいたとか、手紙にはちょくちょく“吾日弊”(私は日々疲れています)と書いていたとか、五石散という漢方薬を飲んでいたとか(“散歩”の語源だとも?!)、親しみの湧く構成が嬉しかった。
 人間、2000年くらいじゃ全然変わらない、というかむしろ無粋になっているような気すらして、王羲之のようなハートをもってこの先の人生を楽しみたいな、と思った。

 (水曜の晩の「歴史秘話ヒストリア」で空海の話をやっていたなぁ~。)

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2013年1月19日 (土)

筆歴70年…

 今年の芥川賞に輝いた黒田夏子さんは、なんと75歳! 5歳のときに物語を書き上げて以来、筆歴70年というからスゴイ。「見つけてくださってありがとう」という言葉が印象的。私も、75歳になっても好きなことを好きなように続けていたいものだなぁ~。おめでとうございます!
 (クルム伊達さんの活躍にも元気をいただいてます~♪)

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2012年2月13日 (月)

「フェルメールからのラブレター展」

20120211 先の土曜日、息子がフリーになったため、久々に家族でお出掛け。友達とは遊ぶ計画ばかりで一向に美術館レポートの話が進みそうにないので、とりあえず1つは行っておこうということで、渋谷Bunkamuraの「フェルメールからのラブレター展」へ。
 今回は「手紙」にまつわるフェルメールの作品3点が目玉だったが、やっぱりフェルメール、好きだ~。科学的な修復後初の出品とかで、フェルメールブルーの再現が見どころ♪ 多くの人に人気があるフェルメール、皆さんはどんなところが好きなんだろう? 私はなんというか、空気感?…何もないところの空気感と陽射しの臨場感?…そんなところに惹かれてしまう。息子は、フェルメール3点の中では、「手紙を書く女と召使い」がいいと言い、他の作家さんでは、ヤン・ステーンの「生徒にお仕置きをする教師」と、ヤン・デ・ブライの「アブラハム・カストレインとその妻マルハレータ・ファン・バンケン」というのがいいと言っていた。人物の表情で好き嫌いが決まっている感じ。また、メール慣れしてしまった彼にとっては、手紙を書くという行為がかなり面倒に思えるらしいのが可笑しかったのと、絵のモチーフになっていた“トリック・トラック”という遊びがどんなルールなのかに興味をそそられているらしかったのが面白かった(笑)。今回の収穫は、息子が初めて、カタログレゾネに目を通したこと。注目絵画の部分だけだけれど、人の論評(しかも絵画の)を読むのは初めてだったかも。修復に関しての部分が特に面白い気がした。
 たまには家族で美術鑑賞もいいな、と思いつつ、その日はまたテクテクとひたすら散歩して過ごしたのだった。

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2012年1月26日 (木)

円城塔氏と人生の岐路

 遅ればせながら、今年の芥川賞について。石原都知事との悶着などから、すっかり田中氏ばかりがクローズアップされた感があるけれど、作品からでなく、生き様から人生を考えさせられたのは、円城氏から。
 円城氏の作品(?)をたった一つ読んだ。それは夫に教えてもらった2008年発行の物理学会誌vol63に寄稿された「ポスドクからポストポスドクへ」という小文。
 円城氏は、非線形物理学の研究で学位を得て、34歳の春まで、学究の徒として任期付のポスドク生活を送っていたそうだが、ついにエンジニアとして就職する道へ転身するとともに、文筆業と二足の草鞋で生きていくことにしたのだとか。その転身から間もなく、『オブ・ザ・ベースボール』という作品で、第104回文學界新人賞を受賞。学会誌への寄稿は、その受賞を契機として、当時のポスドク問題へ一家言投じてもらおうと、編集委員の方が執筆依頼したものと思われる。
 こんな執筆依頼をした学会誌を面白いと感じつつ、依頼に応じた円城さんの文章もまた、ウィットに富んで面白かった。実際問題は、とても辛く長いポスドク生活だったろうし、風通しの悪い学術界に文句たらたらだったのだと思うが、それをサラリと皮肉って“オサラバッ!”という感じの潔さは、なんだかスッキリ感じられた。
 こんな小文から人生の岐路について考えさせられるとは思ってもみなかった(笑)。何か一作、ちゃんとした彼の作品を読んでみようかな?

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2011年5月 2日 (月)

根津美術館

 春の嵐の中、日曜日に息子と二人、根津美術館へ。2月に屏風絵のデジタルアーカイブ展を観に行った延長で、本物のカキツバタの観賞と併せ、“国宝 燕子花図”を鑑賞しに。
20110501_1  表参道から美術館への道がおしゃれな上、美術館自体も建物といい庭園といいしっとりと素敵で感激。大昔に行った記憶があるのだけれど、その当時と今とではずいぶん違う趣。お目当ての尾形光琳筆「燕子花図屏風」は当然のごとく素晴らしかったけれど、作者不詳の「吉野龍田図屏風」が魅力的でうっとり(写真はPostCard)。息子も、「紅葉の屏風絵が一番好きだな」と言っていた。桜と紅葉の絵の中には、『古今和歌集』と『玉葉和歌集』におさめられた吉野と龍田(桜と紅葉の名所)を詠んだ和歌が随所に書かれていた。
 他にも、源氏物語や伊勢物語を題材にした屏風絵や、たくさんの仏教彫刻なども展示されていたのだけれど、お目当てのものだけゆっくり堪能したらそそくさと庭園へ移動してしまった。
20110501_220110501_320110501_4    そして庭園の気持ちよさといったら! 高低差があり変化に富んで、いくつものお茶室や石像などが点在する上、季節の花々が美しかった。息子は、「あ~、ここで鬼ごっこしたら楽しそうだなー」と場違いなことをつぶやいていたが、気持ちはわからなくはなかった(笑)。ぶらぶらと歩いているだけで心楽しく風流な気分。面倒くさがりの息子にしては珍しく、庭園もくまなく歩き回って探検していた。
20110501_520110501_6   藤棚は、まだまばらな房しか垂れていなかったけれど、雲の切れ間から差す光で緑が輝いてきれいだった。人の数もそう多くなく、のんびりゆっくりと庭園散歩を楽しめた。

 帰り道、ランチがてら有楽町のビックカメラに寄ったら、LEGOで作られた巨大なハリポタ人形がお出迎え! ハグリットには一体いくつくらいのブロックが使われていたんだろう??!

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