2023年3月16日 (木)

「ブラッシュアップライフ」

20230314_06  先月末、友人から教えてもらって、まずはTVerで第1,2,3,7話を鑑賞し、その後テレビを予約録画して第8,9,10話を観た「ブラッシュアップライフ」。
 バカリズムさんの脚本で、錚々たる俳優陣が出演した、軽妙ながらも味わい深いドラマでした^^。
 人生リフレインものは数あれど、ブラッシュアップした人生って何だろう…、と、考えさせられました。
 不慮の事故で早逝したものの、“人間”以外への転生を拒み、再度自分に生まれ変わって徳を積んだ上で、“人間”への生まれ変わりを目指し始めた主人公のアーチン。何周ものうちに、薬剤師や医学研究者へといかにも人生をブラッシュアップしているかに見えつつ、旧友たちとの距離は次第に離れ…。そんなリフレインを何周か繰り返すうち、旧友たちが航空機事故に遭遇して命を落とすことを知ります。それ以降は、ただただそれを阻止することへと目標が変わりーーー。
 最終回では、その努力が実って事故を未然に防ぎ、旧友たちとも旧交を温めることが出来ました。事なきを得て、パイロットの職もスパッと手放し、故郷で仲良し4人組で愉しく余生を過ごすという、なんともほのぼのしたラストでした。
 ずっと、“北熊谷”という地名が気になって気になって仕方ありませんでしたが、私にとっては郷愁を誘う雰囲気で、旧友たちはどうしてるかな~と懐かしくもなりました。
20230314_08 20230314_07  偉大な功績を積むことももちろん大切だけれど、どんな境遇に生まれようと、気の置けない仲間と愉しく笑い合えることほど心が安らぐことはない…っていう結論かな^^。
 安藤サクラさんは、本作でもものすごい演技力で魅せてくれたわけですが、過日の日本アカデミー賞授賞式で、「ある男」によって最優秀助演女優賞を受賞されましたね♪ おめでとうございます! 子育てと女優業の両立に悩みつつの日々のようですが、そうした悩みもまた、今後の仕事に必ずや活きてくるのだろうと思います。とても大変だとは思いますが、(無理しすぎない範囲で)がんばれ~!

20230315 【平常モードへ】昨日、夫の平熱状態も3日を経過し、抗体検査した私も陰性だったのを受け、本日より平常モード。食卓も一緒に囲むモードに戻しま~す^^。

【お寺DEアール・ブリュット 3人展@広尾了聞
3/13~31の期間、広尾の了聞を会場にして、3人の作家さんのアール・ブリュット展が開催されているそうです(9時~17時)。時間を見つけて伺うつもりです~♪

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2023年2月26日 (日)

「The Playlist」(あなたは誰に感情移入する?)

 Netflixの「The Playlist」を観ました。滅茶苦茶面白い!!
 Spotify創業時から(未来の架空の公聴会まで?)の物語を、創業者・音楽業界・法律家・技術者・共同経営者・アーティストの6人6様の立場から、複数視点で描いたものなのですが、これからの著作権やクリエイティヴ・シーン、そして独占禁止法や利益配分の正当性、まさに経済主義を考える最高の素材になりそう。。。
 私が最もシビれたのは、掟破りのプロトコルの特許を取得した末に実現した、安価とスピードを兼ね備えたハイブリッド(サーバ形式とP2P)の通信システムを構築したシーンだったかな~^^♪
 とは言え、誰の視点で見ても、印象的なセリフや考え方が盛りだくさんで、興奮します~!!
 創業者ダニエル・エクの「もっと速く!」を追求するパッション、ソニーSweden代表だったスンディンが無限のジュークボックスの可能性に気付いた瞬間、大手法律事務所のシニア・パートナーへの昇進話を蹴ってSpotifyに合流したペトラ・ハンソンの有料プレミアム版発想のタイミング(※問題の本質を解決したわけではないところがミソ)、「七人の侍のプログラマー版」としてアクセスとスピードを極めたシステム構築に邁進したコーダーのアンドレアスが新しいプロトコルを思いついた夜(恋人の細胞生物学専攻の女医さんがカッコよかった!)、ADHDを抱えながらも“信頼”をモットーに型破りな人集め・金集めに奔走した共同経営者のマーティン・ロレンソンの行動力、“レコードをスクラッチ”運動に参加して幼馴染であるダニエルを追い詰める歌手のボビー・Tの「変化と搾取は違う」という言葉。。。
 改めて、ITの進展がいかに既存の社会構造にとって破壊的だったかを思い知らされる話でした。
 音楽業界以上に、この技術に翻弄されたり瓦解させられた業界は数多いものの、マーケットが広く、従来のプラットフォーマーだったレーベルが強力だっただけに、ネット旋風の影響は甚大なのでしょう。ITによる文化の創造と伝達への影響は、まだまだ序の口という気がしています。
 要は、創作物の価値はどう評価され、それに相応する対価をどう分配するか…(自分にとって価値ある本が必ずしも売れるわけではなく、でも一方で、万人の心を打つモノには“何か”がある…)

 CHIP WAR、Napster、WinnyThe Pirate Bay、漫画村、Spotify、iTunes、Sci-Hub、図書館、それってパクリじゃないですか?、転売ヤー(他人のふんどしで相撲)問題、AI創作物の著作権

 いろいろ、読みたいモノ観たいモノ考えたいコトも溜まっていますが、とりあえず本作を観ることが出来てよかったぁ~!!!!!

【豊海橋横のスロープ開通♪】

20230220_1 20230220_2  延々と工事が続いていた、ウォーキングコース途中にある豊海橋横のスロープが、今月中旬、ついに開通しました!
 永代橋や中央大橋や、高層マンション群やスカイツリーが見渡せる、なかなか素敵なロケーション。
 これまでは、近隣の会社のモク部屋のように、喫煙者の方々が多く集まる場所だったのですが、現在は喫煙禁止の看板がデカデカと貼られていました^^;;。(代替場所はどこかに確保されたんだろうか…?)
 これでまた、隅田川テラスのウォーキングコースの快適度が上がりました♪
20230220_3 20230220_4 20230220_5  少しずつ春めいてきて、佃の石川島公園のパリ広場にある白梅には、小さなメジロが蜜を吸いに来ていたし、清澄白河の芭蕉庵近くのトウネズミモチの木ではムクドリやヒヨドリががむしゃらに実をつついていました(笑)。隅田川底の土砂の入替作業も順次行われているようで、浚渫船が頻繁に行き来してもいます。区の、“水と緑の課”の皆さまも頑張ってくださっているようで、少しずつあちこちの整備が進んでいます。
 環境整備は、地域一丸となって取り組まないと、すぐに綻びを見せるものですが、日々のウォーキングでいろんな人の努力を目の当たりにして、ありがたい気持ちでいっぱいです。どんどん有効活用させていただかないと!!

Kasai 20230223 【葛西臨海公園再開発】去年、神宮外苑の再開発で1000本の木が切り倒されるというニュースに驚いたばかりですが、今度は、葛西臨海公園の再開発で、1400本の木が切られるのだとか?! 完成予想図では、隣の鳥類園の池は残されるようだし、自然エネルギー重視の姿勢からの太陽光パネル設置なのだとは思いますが、1400本もの木を切らないと実現できないことなのか、もう少し詳しく計画について訊きたいですね。。。
 園内MAPに、今回の計画の完成予想図を反映させると、およそ赤い太線の中が再開発対象となり、グレーの部分にパネルを設置するように見えます。水族館全体を、太陽エネルギーだけで賄うとか、そういう趣旨なんだろうか…??? この場所に設置しなければならない理由を知りたいところです。
(我が家のに、見事な金木犀があったのですが、先日、バッサリと幹の中途で水平に切られてしまいました。見通しはよくなりましたが、なんだかすごく味気ない通りに…^^;;)

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2023年2月15日 (水)

Our Souls at Night(夜が明けるまで)

20230212  先週、友人がNetflixで観たという「夜が明けるまで」という映画を私も鑑賞。
 学生時代、ロバート・レッドフォードは大好きな俳優さんで、それこそ「明日に向かって撃て」「スティング」「追憶」「華麗なるギャッツビー」「愛と哀しみの果て」等は、そのキュートさに夢中になって観てましたし、監督作の「普通の人々」「リバー・ランズ・スルー・イット」も素晴らしいと思いました。
 ジェーン・フォンダは実力派女優さんという印象ですが、私の中に最大のインパクトを残しているのは「チャイナ・シンドローム」。どんな役をやっても、芯の強さが感じられる自分を持った女性ですね。
 今回、実に数十年ぶりに観た彼は、若かりし日の面影はあるものの、やはりずいぶんと老けていて、最初は唖然としてしまいました。「こちらも歳を取るわけだな…」と切実に思ったわけですが。。。
(以下、ネタバレ注意)

 ジェーン・フォンダ(85歳)・とロバート・レッドフォード(86歳)、ふたりとも信じられないプロポーションと魅力は往時のまま! 80歳を過ぎてもキュートさを失わない佇まいがスゴイ♪ そして、演じれば演じるほど、匂い立つように湧き上がってくる人間味に魅せられました。
 年老いて伴侶を失い“やもめ”となったご近所同士のルイスとアディ。それぞれに、家族との辛い過去を抱え、それでもなんとか子どもを独立させた後、伴侶を失くして、地域の同性の友人たちとルーティーンのような時間を繰り返す日々ーーー。
 そんなある日、アディが突然ルイスの家を訪れ、非常識にも思われる提案を持ち掛けます。「寂しい夜を乗り切るために、一緒に寝ないか?」と! Pillow Talkと言うと語弊があるなら、Pillow Chatとでも申しましょうか…(笑)
 そこから、ふたりの生活に様々な変化が生まれます。一晩目はただ黙って眠るだけ。二晩目は「人目を気にしすぎて生きてきた」と“しがらみ”と決別するかのようなつぶやき。そして、堂々と玄関から入るように促されたルイスは、三晩目は玄関から入るものの、あっという間に友人たちの噂となり、からかわれ突き上げられることに。。。
 けれど、それも気にせず毎夜毎夜の逢瀬を続けるうち、もはや密会は公となり、ついには日曜日のランチを街のレストランで共にして、腕を組んで歩くまでになっていきます。同じベッドで横になり、ただ他愛のない話や昔話をしていただけの二人なのですが、親密な会話は相互理解を生み、愛情が芽生える。。。
 高齢者にとっては無謀とも思える人間関係の発展が、アディの息子ジーンや、孫のジェイミー、ルイスの娘ホリーとの関係をも改善していくーーー。
 人生を再度噛み締めながら、それぞれが納得いく道を探ります。アディはジーンとジェイミーと暮らし始め、ルイスは昔の夢を思い出して再び絵筆を取る。。。離れ離れになって夜を共に出来なくなっても、スマホでの会話が出来るようになって、ふたり一緒の夜が形を変えて人生を充実させるーーー。
 いくつになっても、会話と行動って大事だなぁ~とつくづく感じました。ふたりのために書かれた脚本のようでした!

 ただ、目下の日本の状況と照らすと、リタイアしてのんびりと毎日を過ごせる日が来るのか、とか、80代になってもピックアップトラックを運転してキャンプしたり、友達とドライブして、ラテを飲みながら野球観戦したり買物に出掛けたり、家庭菜園の野菜を料理したりする余裕を持てるものかなぁ…と、不安もよぎりました^^;;。アディが転倒して入院した際、もしも回復せずに寝たきりになったら、ふたりはどうなっていたんだろう…?と、余計な想像をせざるをえなかった私(苦笑)。そもそも、夜はいつもバタン・キューで、5分も起きていられない私には、本作のようなロマンスは、せいぜいディナーを共にする所までだな…とも思ったのでした(^0^;;;。

【備忘】過日TVで紹介されていた「オットーという男」と「いつかの君にもわかること」も、いつか観たい~!

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2023年1月28日 (土)

「チャリング・クロス街84番地」

20230114_20230114150301 Img_7585  友人から『チャリング・クロス街84番地』という本を勧めていただいたのですが、読む時間がなかなか取れそうになかったのと、すごく面白そうだったのとで、手っ取り早く映画を観てしまうことにしました^0^;;;。先々週の週末、Amazon Primeにて。
 本の構成は、ニューヨークに暮らす女性脚本家が、様々な古書を求めて、ロンドンにあるMARKS & CO.という古書店員と文通を重ねる…というシンプルなものだと聴きました。それをどう映画化したのかにも興味があったし、その古書店員役をアンソニー・ホプキンスが演じるというので、俄然映画が観たくなったというのもあります。
 20世紀前半のニューヨークとロンドンは、都会とはいえまだまだ垢抜けず物資も少なかったんですね。。。脚本家のHelenは、タイプライターとジン(?)とタバコをお供に、日夜執筆とアルバイトに精出す地味な毎日。由緒ある古書店員のFrankも、革表紙やハードカバーの壮麗な古書を丁寧に扱いながらも安値で売買し、ハムやソーセージや卵にさえ事欠く日々。それでも、ユーモアと好奇心をもって暮らし、本をこよなく愛する二人。
 遠い地のHelenが求める書籍を手配して、手紙と共に送り続けるFrankは、やがて、仕事というよりも文通を愉しむ感覚で、Helenの要望に応えるようになり、古書店員全員を巻き込んだ温かい交流が広がるーーー。
 様々な作品からの引用がありましたが、私は、ジョン・ダンという詩人の言葉が印象的だったなぁ~。
 Amazonとネットに頼り切りの昨今では考えられないような物語ですが、本と手紙を介するコミュニケーションのワクワク感は、旧人類の私には分かるなぁ~♪ 適度なタイムラグのある文通って、一文に備わるパワーが違う気がします。
 原書を読めば、イギリス英語とアメリカ英語のテイストの違いとか、双方のユーモア溢れる文体や、英国文学の背景などなど、もっともっと滋味深さが味わえるのかもしれません。残念ながら私にその素養はありませんが、映画は存分に楽しませていただきました。
 味わい深い本のご紹介、ありがとうございました~♪

20230125_08 20230125_09 【宮崎まで251km】先日、NHKの「歴史探偵」で、伊能忠敬翁が取り上げられていました。一方、伊能忠敬万歩計で12月中旬に鹿児島に到着した私。やっと、宮崎まで251kmの所まで来ました。歩くだけでも大変なのに、あんなに面倒な測量をしながら進むなんて、本当に尊敬します! 几帳面なお人柄、古書店をやってもきっと素敵な店主になられたことでしょう~^0^♪

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2023年1月19日 (木)

「My Family」

20230116_08  昨年暮れから今週頭にかけ、去年TBSで放送されていた「My Family」というニノさん主演のドラマをTVerで分割放送していたので、視聴させていただきました。まったくノーマークだったのですが、スリリングな展開と込み入ったバックグラウンドのあるドラマだったので、毎週少しずつ観るよりも、まとめて一気に観た方がジェットコースター的な緊迫感が高まってよかったと思います!
 全10話のうち、8話まで来ても、まだ犯人もその意図もよくわからず、ドキドキしながら最終2話を一気見。。。
 まだこれからご覧になる方もいると思うので、犯人については一切触れず、おおまかな感想にとどめます~^0^;;。

 テーマは、最終話でアルカナCOOの香菜子さんが言っていた、「子どもを守るのが親の務めでしょ」の一言に尽きますね(自社を、自分の子どものように思って頑張っている女性もいることを痛感)。
 近頃、ダイハツトールだのnexco東日本だののCMで、やたら濱田岳さんが父親役の演出が続いていると思ったら、このドラマの影響も一因なのかもしれません。子を想う父親の執念の凄まじさってそこまで?!という驚き。
 昭和的な働き方をしてきた父親というのは、とかく、“子どものため、家族のため”と思って仕事に打ち込むのだと思いますが、それこそ、ワーク・ライフ・バランスを取り違えると、本ドラマのような悲劇を招きかねない…かもしれません。
 それにつけても、こんなハラハラドキドキのドラマを、毎週テレビで追っかけていた人の辛抱強さは素晴らしい! 私なぞ、9,10話を残してTVerに8日間もお預けをくらって、生きた心地がしなかったです~^0^;;;;;! この一事を以てしても、“迷宮入り”っていうのはストレスフルであることが実感されたのでした。観終わってどっと疲れるミステリーって、スゴいなぁ。

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2023年1月 9日 (月)

「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」

202212  2022年最後のアニメ鑑賞は、安彦良和先生の「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」。
“子どもたちと戦争”という、等身大の戦いを見事に描く、安彦先生の乾坤一擲の佳作だったように感じます。(以下、ネタバレ注意)


 ククルス・ドアンは、ジオン公国軍のサザンクロス隊で歴戦のMSパイロットとして活躍していたものの、戦争で親や身寄りを失くしたたくさんの子どもたちを見続けることに耐えきれず、彼らの保護に専心するために脱走。ある島で、子どもたちを守りながら、ひっそりと電気も使わずに、隔絶した暮らしを営んでいたのですが、ジオンはこの島のポイントCAに備えられたミサイルを発射するためにサザンクロス隊に特殊任務を課す。一方、連合のホワイトベースは、この島の偵察任務に就き、アムロは島で行方不明にーーー。
 ドアンに保護されたアムロは、島の子どもたちと数日を共にするうちに打ち解けて、一緒に畑を耕したりポンプを修理したり食事したり…。けれど、アムロが搭乗していたガンダムは、ドアンによって隠されていてーーー。
 印象的だったシーンはいくつもありますが、子どもたちが就寝前に唱える“ドアンとの明日の約束”が微笑ましかった!
「みんなと仲良くします」
「助け合って、自分の係の仕事をします」
「好き嫌いをしないで何でも食べます」
「水は大切に使います」
「大きい子は小さい子を守ってあげます」
「わがままを言いません」
「部屋はきれいに使います」
など、日々の小さな約束ながらも、そういうルーティーンを子どもたちに課して、助け合い努力することの大切さを日々浸み込ませている様子に、教育の理想を見せられているようでした。
 また、ドアンが秘密裏にライフワーク的に取り組んでいた“大事な仕事”というのが、ジオンのミサイルを無力化する作業だったのもスゴイ。
 さらに、そのように改造されて不発に終わったミサイルを見て、“パリもロンドンもニューヨークも燃えていない”ことを部下に確認し、「私の部下にも、文化を愛する者がいたということか」と、歓喜していたマ・クベも、ちょっとカッコよかった^^。
(ラストでアムロが、ドアン専用ザクを海に落とすシーンは、ちょっと複雑な気分。それならガンダムも一緒に落とさなきゃいけないんじゃ??…^^;;。)
 ガンダムシリーズの魅力は、“心の揺らぎ”が見えること。それは、考えたり迷ったり恐れたりする中で、また、人と関わることで、随所に見られます。現在の混迷の中でも、大人がもっと、“戦う”ことに悩む姿を、子どもたちに見せるべきなんじゃないかなぁ…と思う次第です。
 森口博子さんの「Ubugoe」もよかったです♪
 政情不安が延々と続いた2022年を締めくくるにふさわしい鑑賞でした。素敵な作品をありがとうございました。
 今年こそは、戦火が収まることを期待しつつーーー。

ウクライナ戦争が問う我々の人間性】小泉悠氏のエッセイが、ククルス・ドアンの島の営みと、とてもシンクロして感じられました。
(それにつけても、“水星の魔女”の第1期ラストは衝撃。。。私だってそりゃぁ、家族の血を狙って寄って来る蚊を見つけたら、バチンッとヤっちゃいますけれども…ですけれども…^^;;;;;)

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2022年12月28日 (水)

「クロサギ」と、そして「エルピス」…

20221214 20221218_4  今期は、「鎌倉殿の13人」以外だと、「クロサギ」と「エルピス」というドラマにハマりました。
 「クロサギ」の方は、ストーリーもさることながら、いつも平野紫耀くんが美味しそうにスイーツを頬張る様を見るのがただただ眼福でした(笑)。演技も素晴らしいのに、イケメン過ぎて演技が霞んでしまいそうに感じるのは私の一人よがりかな^^;;?? 歳を重ねたら、“親爺”みたいな別の色気が絶対に出ると思ってます~♪
 法律や司法制度の限界とか、本当に怖いものは何か、みたいなテーマにおいては、両方の作品に通じるものがあり、2つのドラマを交互に観ながら、昨今ことごとく信頼を失墜させている様々なものに思いを馳せました。
 「クロサギ」のラストでは、黒崎くんがようやく過去の後悔を吐き出せて、吉川さんも無事検事に。。。続編も期待されます!♪
 そして、6年越しで実現したというドラマ「エルピス」は、社会の理不尽を弁えた上で不器用ながらも世渡りしている浅川アナを演じる長澤まさみさんと、いいとこのお坊ちゃんながらも正義を渇望する後輩の岸本君を演じる眞栄田郷敦さんの対照が素晴らしく、岸本君の成長が本当に見応えありました。
「あぁ、“正しい”ことがしてぇぇぇ…」
という彼の呻きが、社会にこだまするような気がしました。近頃蔓延する“忖度”という名の妙なゴマスリ処世術を、一切合切封印したいと感じる者としては、今期ドラマで一番刺激的だったのは「エルピス」かもしれません。ただ個人的に残念に思ったのは、本作の最終回こそが最大の“忖度”に思えてしまったこと。“忖度”を糾弾する以上に、暴力に“恐怖”してモノが言えなくなることを容認しているように見えてしまったから。。。
 日々の暮らしや人々の生活、家族親族など、守らなければならないものがあるから“忖度”する、という言い訳が容認されるような世の中なら、いっそ生涯独り身でいたい、と思う人も増えると思われ、少子高齢化もそんな反逆心の一態様なのでは?と思ったり、“ひきこもり”が史上最大数にまで膨れ上がろうとしているのも、そんな風潮を本能的に察知して厭世する人が増えているだけでは?と思ったりする
今日この頃ですが、最終回の斎藤さんの言説について、いろんな人に感想を聴いてみたい~! このドラマは、まだ序章…と思って見納めることに致します。願わくば、“スッカスカでキラキラ”なジャーナリズムに、地道な取材と独自の解説が加わりますようにーーー。
 いずれにせよ、ドラマ仕立てで社会問題に光を当ててくださったスタッフ&キャストの皆さま、どうもありがとうございました&お疲れ様でした~。

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2022年12月23日 (金)

「鎌倉殿の13人」

 日曜日、ついに「鎌倉殿の13人」が完結ーーー。
 天晴れなラストに、見続けてよかった…と感じ入りました。
 当初、時代劇らしからぬセリフ回しやキャラクターの軽さにやや辟易し、今期の大河はパスしようかな…と思ったものでした。
 けれど、その分かりやすさや人間臭さを何話か見ているうち、知らず知らず惹き込まれ、軽妙な中にも何か一本ずっしりとした筋が通っている感じがして、それを感じ取って以降は一気に最後まで観てしまいました。まずは、スタッフ&キャストの皆さま、お疲れ様でしたm(_ _)m。感動の物語をありがとうございました!
 正直、あまりオチャラケたドラマが好きではないせいもあって、三谷幸喜さんは、尊敬する脚本家さんではあっても、好きな作家さんではありませんでした。もちろん、「刑事コロンボ」大好き人間だった者として、「古畑任三郎」を一人で書き上げた胆力も、「新選組!」や「真田丸」の魅力も、ただただ憧憬の的ではあるわけですが、好きな作家さんとして真っ先に名を挙げるかというと、そうでもなかったのです(スミマセン^^;;)。
 けれど、今回の「鎌倉殿の13人」で、すっかりファンになりました♪
 最終回放送の前日、NHKで「三谷幸喜の言葉 ~“鎌倉殿の13人”の作り方~」という密着インタビューを拝見しました。
 もしかしたら、おふざけなしであんなに真摯に語る三谷氏を見るのは初めてだったかもしれません。あぁ、こんなにいろんなことを考えながら物語を紡ぐんだ…、あぁ、こんなに各キャラクターに思い入れを持って描くんだ…、あぁ、モノづくりに対してこんなにも謙虚な方なんだ…、と、TV画面に向かって拝んでしまいました(笑)。
 「面白さはすべてに優先すると思う」とか「脚本家の出来ることはたかがしれている」とか、基本的なご自身の立ち位置をしっかり保持しておられました。吾妻鏡等、参考にした歴史書には女性の名前がほとんどない、というコメントに、まさに時代を感じましたが、本作に登場する女性たちは皆それぞれに、とても魅力的で存在感があったと思います。中途中途ではよく、あぁ、歴史において女性は恐るべきフィクサーかもな…なんて思わされた回も何度もありました。
 企画当初から、本作は「義時・泰時の親子の物語」であり、「北条家の家族の物語」であるという思いがあったということで、出色の出来栄えに合点がいった思いです(鎌倉版“渡る世間で鬼になる”?)。親が子を思う気持ち、期待、不満、心配・・・家族ならではの容赦なさや甘さ・・・そうした感情のぶつかり合いさえ、愛おしくなるような視聴後感でした。結末の政子の「おつかれさまでした、小四郎 …」という言葉に、義時はきっと肩の荷を下ろせたのだと感じました。
 作品への自分なりの評価というものは、鑑賞するタイミングや心持ち、その時々の境遇などに左右されて変わるものだと思いますが、何かと身辺ドタバタが止まらない私には、今がドンピシャの見頃なドラマだったと思います。万人が自分のドラマを生きてるんだよなぁ~と、つくづく感じた最終回でした。
(最終回の最初にまさか、吾妻鏡に熱中する松本家康が登場し、“脚本協力”に古沢良太さんがスタッフィングされるとは思ってもみませんでした! 義時・泰時から家康へ、坂東武者の世の平和志向が受け継がれますね~)

20221219_1 20221219_2 20221219_3 【運慶】この余韻が冷めないうちに、鎌倉に行くか、運慶の彫刻を見るかしたいな…と思ったら、なんと半蔵門ミュージアムという所で運慶作と目される大日如来坐像が見られるらしく! また、そのミュージアムの裏に、来年3月、半蔵門園地という公園がオープンすることを知りました♪
 さらに、ドラマの最後に、義時が泰時に託した冑佛(かぶとぼとけ)について、河村隆夫さんという方の『冑佛伝説』という本があることも知りました。
 争いの痛みを知る武家の人たちが築いたFar East Kyotoは、これからも面白くなりそうですね~♪

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2022年11月29日 (火)

「ある男」

20221123_1 20221123_2  勤労感謝の日、我が家の屋台骨を支えてくれている夫のリクエストにお応えして、映画「ある男」を観に行きました。
 私が読んだことのある平野啓一郎さんの本は、『日蝕』と『マチネの終わりに』だけ。一方の夫は、平野さんに何かとシンパシーを感じるらしく、数冊読んでいる模様でした。で、『ある男』は双方とも未読だったため、何の予備知識もなく、初見で映画鑑賞することにーーー。
(以下、ネタバレ注意)


 キャストの皆さんの演技力と、全体構成や演出の巧妙さで、それはそれは見応えのある面白い作品でした!!!
 夫に付き合って…という鑑賞初動で失礼ながら、予想外にのめり込んで観ました!!
 世は、ハンコを押すだけの法務大臣問題で揺れていた中、人が生まれながらに背負うものや、人生を通して得ていくものや、家族や幸せや、いろんなことについて考えながら、ミステリアスな展開の先が気になって、あっという間の一幕でした。
 原作を読んでいないので、ラストがどうなっていたのかはわかりません。ただ、『マチネ…』の時と同様、個人的にはラストにだけ納得いきませんでした^^;;。最後のくだりだけが、なんとなく下世話なものに感じられて、「あれは要らなかったんじゃ…??」と夫に感想を漏らしたら、夫は「あれはあれで必要だったんじゃない?」とのこと。
 細かい所にツッコみ始めると、それはそれでイロイロ気にはなるのですが、“悠人くん”の味が最高で、彼の健気な存在だけですべてが許せる気がしてしまいました(笑)。
 当初、「これは臓器移植をめぐるミステリーか?!」なんて思った私の予想は大ハズレで、テーマはもっと重く苦く辛いものでした。たとえどんな境遇や過去を持とうとも、自身の力で周囲の色眼鏡を塗り変えていければいいのでしょうが、それを許さないかのような冷たい仕打ちが世の中に溢れているのも事実。曇りのない目で“今”のその人を見たいし、自分もそう見て欲しいし、そう見られても恥ずかしくないように“今”を生きたいーーー。
 夫との考え方の違いは、本作をめぐる感想の応酬で再び明らかになりましたが、考え方の違う人ともきちんと意見交換して、お互いの考えを尊重するのもまた、色眼鏡をクリアにしていく貴重な営みです^^;;。
 面白い作品に出逢わせてくれた夫と、スタッフ&キャストの皆さんに感謝と拍手~!!
(友人は、本作の原作本を読んだとのことで、次回のランチ会では是非、本と映画の比較談義も出来たらと、楽しみにしています~♪ そういえば、『ザリガニの…』も映画化されましたね。観に行こうかどうしようか迷っています~)

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2022年11月27日 (日)

「CODA あいのうた」

20221120_6  先週の日曜日、家人不在の雨の午後、Amazon Primeで「Coda」を鑑賞。前々から観たいと思っていたのをふと思い出して。。。
 音のない世界、手話と文字と、目に見えるモノものとFeelingを頼りに、他者とコミュニケートする世界。
 家族の通訳として育ったルビーが、歌うことで自分の人生を切り拓き独立していくまでの数ヶ月を、丁寧に描いた作品でした。
 いろんな家族があり、いろんな幸せがあり、いずれは誰しも親離れ子離れする時が来る。
 ルビーの家族や友達も素敵だったけれど、何と言っても、音楽のV先生が最高でした~!♪
 人の才能を見出して応援するって、素晴らしい仕事だなぁ…と、涙涙。教育を聖職と心得ながらも、自身の才能を静かに温め愛おしむV先生。。。
 あったかい気持ちになりたい時、是非ご覧あれ~^^。

〔紅葉の中で小鳥のさえずりを聴く初老の夫婦〕

年を取ると高い音から聴こえづらくなると言われますが、小鳥のさえずりは、いつまでも聞いていたいものです。 

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