2024年7月17日 (水)

日本野鳥の会 創立90周年記念誌

20240711_01  今年は、日本野鳥の会 創立90周年だそうですね。
 先日、「野鳥」という会報誌が届きましたが、中西悟堂さんが創刊したのが1934年で、通巻871号とのこと!
 我々夫婦にはお馴染みの安西先生が、原 剛氏と対談されている様子も掲載されていました。
 中西さんの思想の片鱗に触れた思いですが、ネイチャー・ポジティヴと目下の技術/文明とが、果たして両立できるのかは、今の私には到底分かりません。それでも、バードウォッチングを通して自然に身を置くと、日頃感じないさまざまな感覚が蘇る。。。
 何ができるのかはおぼつきませんが、少なくとも、自然の中で生かされている自分というものを忘れずに、育まれる心地よさを大切にしていきたいな、と思います。

20240714 【夏の計画】先ごろ、夫がこんな本を買って、夏のバードウォッチング計画をあーでもないこーでもないと検討し始めました。
 私はと言えば、昨年作った自前のプチ写真集に続き、今年も秋ごろを目途に第2集をまとめようと検討を始めています^^。
(今年の表紙はやっぱりコマドリさんかなぁ~?!)

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2024年6月25日 (火)

「時間」と「SF」

20240620  『数理科学』の6月号は、6月10日の"時の記念日"に合わせ、「様々な視点でとらえ直す<時間>の概念」という特集。
 そして『BRUTUS』の7月号は「SF」特集。
 もはや若者にとってはマルチバースが常識のようなSF的世界に生きている我々ですが、未だ世界は分からないことだらけ。
 中でも不可思議な<時間>という概念。
 『数理科学』6月号の佐藤勝彦先生の巻頭言だけ取り急ぎ拝読しましたが、これまでの物理学の進展における「時間」の捉え方の歴史が端的にまとめられていて、頭が整理されました。
 私たちはごく自然に"時の流れ"というものを感じるけれど、何も存在しない真空の世界をもし外から眺めることが出来たとして、そこにも"時の流れ"を感じるのでしょうか…?
 また、自分の中での時間感覚という意味では、常に驚くほど"時間の流れ"は不規則で、同じ1時間という時間でも、集中している時はあっという間に過ぎ去り、手持無沙汰の時はずいぶんとゆっくり…。観測者の精神や身体状態に如実に依存しているようにも思えます^^;;。
 今回の『数理科学』では、いろんな着眼点で多くの方々が<時間>について考えていることが分かり、「人間ってホント、おもしろいな…」とも思うのでした^^。

【SF作家の都知事選出馬】そういえば、東京都知事選にマルチな才能を持つ若手の方が立候補しましたね。朝の政見放送も選挙公報もカオスな感じですが、"政局より政策"、と言われただけで推したくなる私って、もはや政治不信の末期症状…^^;;??

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2024年4月12日 (金)

『森と氷河と鯨』

20240405_8  先週、表題の文庫を読了。
 写真家の星野道夫さんが、アラスカやカナダやシベリアに住むモンゴロイドに伝わる神話に登場する、世界の創造主たるワタリガラスの数々の物語を追いながら、遠い昔、アイヌからアラスカへと渡ったと思しきクリンギット・インディアンやエスキモーの末裔を訪ねて、時間を遡行するかのような一冊。
 星野さんの写真集に載っていた彼らの写真を観た時、誰しもが、日本人とどこか繋がりがあるのでは…と感じるのはないでしょうか。。。星野さんがなぜ、ワタリガラスの神話や、彼らの暮らしぶりに関心を寄せていったのか、詳しいことは分かりません。
 けれど、"見えないものに価値を置いて生きる"彼らに、強く惹かれていたことは確かなのでしょう。
 昨今の文明が、物質的な消費社会であることは疑うべくもなく、タイパ、タイパと効率重視で日々慌ただしく時間を浪費するかのような暮らしぶりなのに対し、本書に登場する人たちは辛うじて、いまだ柔和でゆっくりとした時の流れの中にいるように感じます。
 森も氷河も鯨も、決して一日にしてならず、深く厚く大きくなるまでには長い長い時間を要するーーー。
 刹那に生きる現代人と、悠久の時を生きるものもの…。
 せめて精神だけは、折に触れて悠久の時を俯瞰しながら生きたいと感じます。

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2024年2月28日 (水)

家庭画報3月号

20240224_2  弊ブログを時々覗いてくださるshushu様にご紹介いただき、「家庭画報3月号」の星野道夫さんの関連記事掲載号を入手♪
 三連休最終日の雨の午後、洗濯乾燥機をフル回転させながら、ゆるりゆるりと拝読しました^^。
 星野さんの写真と文章には、生命や自然に対する素直な畏敬の念が感じられて、いつ観てもいつ読んでも涙が湧いてきます。
 『森と氷河と鯨』というのは、「家庭画報」での連載だったのですね?! 今度是非読んでみたいと思います!!
 この記事で知ったのですが、今年の4月20日から6月30日に、北海道立帯広美術館で「写真展 星野道夫 悠久の時を旅する」が催されるのだとか♪ 写真美術館で一度鑑賞させていただいてはいますが、初夏の帯広に赴いて、オジロワシの撮影と併せて美術館も訪問出来たら素敵だなぁ~…。
 本号には他にも、アフタヌーンティー特集や、ビオワイン紹介や、西オーストラリアレポート(夫が今年AUに行くかもしれない…)などもあり、まったりな休日にぴったりの号でした(^0^)♪ ご紹介、本当にありがとうございましたm(_ _)m!

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2024年1月18日 (木)

『還暦不行届』

20240116_20240113111601  目下、司馬遼太郎さんの『空海の風景』をノロリノロリと読み進めている私ですが、並行してイロイロと買い溜めておりーーー。
 先日、その中の一冊である『還暦不行届』を読了。『監督不行届』の続編ですね♪
 今のアニメ業界を色んな意味で牽引してきた方々や、うちの夫を始めとするコアなアニメファンたちが、軒並みアラカンとなる頃合い…。
 iMART2023の「アニメカルチャーをいかに海外に伝えるか」という公開動画も拝聴しましたが、もはや国内でのサブカルのステイタスはほぼ確立された感がありますが、世界に発信していくには、まだまだ権利処理や翻訳業務など、お金と時間がネックとなっているようです。護送船団方式で臨もうにも、権利の帰属や利益の分配の采配が一元化できないと難しい模様。。。
 宮崎監督の「君たちはどう生きるか」が、米国アカデミー賞の前哨戦で、ゴールデングローブ賞を受賞したばかりですが、いちアニメファンから見ると、こうした状況はもったいないことだなぁ…と感じます。
 …本書は、そんな業界の状況の話には一切触れられておりません^0^。ただただ、クリエイターが創作に没入する可笑しみと、どんなことでも見事に料理してしまう才能の豊かさに惚れ惚れしてしまう内容。我が家の夫や息子たちも、たいがい曲者ではありますが、本書のようにそれを笑い話にするのは、私自身がもっと客観的になれないと難しい。。。^^;;。
 日本のアニメや漫画が、これだけ世界にも拡がっているのは、やはり創作者たるクリエイターの皆さんが、魂を捧げるようにひたすらに取り組んでいるからに他ならないことを忘れてはいけませんねぇ。。。
 

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2023年12月24日 (日)

『ことり』

20231215_03  先々週、朝イチから大谷翔平選手のドジャース入りに関する会見が行われた日、小川洋子さんの『ことり』という小説を読了。
 大谷選手の一挙手一投足は、いわずと知れたキラキラもので、この会見でも、お見事!と唸るしかないような、人の心を鷲掴みにする感動モノのコメントが多数ありました。「昨日出来なかったことが、今日出来たら嬉しい」という純粋な成長を、素直に愉しみながら生きている。眩しいほどの日向の道を堂々と歩く人そのもの。
 一方、『ことり』に登場する人たちは、誰しもが多かれ少なかれとてもとても狭い世界で生きていて、殊に主人公の「小鳥の小父さん」とそのお兄さんは、まるきり「取り繕えない人たち」。不器用に、代わり映えのない毎日を規則正しく生きることにこそ安心する、“じっと”生きる人たちーーー。
 こんなに対照的な存在を同じ日に目の当たりにし、私の心は動揺しました。
 “影日向”なんて言葉では言い表せないほど隔絶された世界。
 同じ人間なのに、どうしてこんなにも違う場所で違う様相で生きることになるんだろう…。
 切ない切ない小さな世界を生きる小父さんの朴訥さが、
とり”たちの無邪気さとも対照的で、人間って哀切に満ちてるな…と思わざるを得ませんでした。一方、小鳥の中にも、人の目を気にせず明るい所に出て来るのもいれば、一生人の目に触れることなく藪の中でひっそり生きるのもいて、小父さん兄弟はまさに後者。昨日と変わらない一日を過ごすことをモットーとする小父さんにも、胸躍る瞬間や、不可思議な出逢いはあったけれどーーー。

 淡々とした日々を繰り返すことの方が多い毎日でも、裏を返せば平穏で充足しているのかもしれず、生き様は人それぞれ。
 ひとつの静かな命、暗い藪の中で一心に生きる“ことり”を見せられたような、不思議な読後感でした。
(次は、司馬遼太郎さんの『空海の風景』を読んでみようかと思っています。権力を金や飴で買っているような政治家はそもそも信頼できませんが、それを排除できない政治や、数だけに頼った駆け引き・打算を見せられるのに飽き飽きしている昨今、この作品がどう心に迫るのか楽しみです。)

【小説の生まれる場所】本書の著者 小川洋子さんの文学講座について、友人が教えてくれました。言葉を道具にするお仕事をしていながらも、言葉の力の限界と、心の豊かさを心得ているからこその、丁寧なお話ぶりでした。

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2023年12月 5日 (火)

『続・窓ぎわのトットちゃん』

20231126_8  今週末には「窓ぎわのトットちゃん」のアニメ映画が公開となりますが、それに先駆けて、黒柳徹子さんの『続・窓ぎわのトットちゃん』を読了。
 天真爛漫で想像力豊かなトットちゃんが大好きですが、そんなトットちゃんを育てたチョッちゃんこと黒柳朝さんの逞しさと前向きさにも、いつも勇気をもらいます。
 戦時下と戦後のトットちゃんの様子を知り、目下苦しい状況下にいる子どもたちも、いろんなことを考えながら日々暮らしていることを想像しました。
 せめてせめて、食べ物があり、家族が身近にいて、友だちと語らうことが出来、将来のことを考える心のゆとりが持てていればよいのですが。。。
 『赤毛のアン』を思わせるトットちゃんの語り口に触れていると、夢見ながら生きることの輝きが愛おしくなります。
 愛と恩に生きるトットちゃんには珍しく、数学の先生が代数を勉強する意味をきちんと説明出来なかったことにガッカリするエピソードがありましたが、この歳になって“勉強する意味”を考えると、その目的はたった2つしかないように感じます。1つは「自分を信頼出来るようになるため」、もう1つは「他の誰かの境遇に寄り添え、誰とでも話が出来るようになるため」。“徹子の部屋”の継続はまさに、生涯勉強を地で行ってますね!
 そんな人生なので、“本はともだち”と思えることは、本当に幸せなことです。友だちと会えば何かしら勉強になるんだから…♪
 自由でいられることの尊さに感謝しつつ、いつまでも子どものような心で年を重ねていきたいものです^^。
 徹子さま、続編を著してくださって、本当にありがとうございました!!
(友人が図書館で予約したら、99人待ちだったとか?! スゴイ!)

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2023年11月27日 (月)

『壊れた魂』

20231120  日々溢れるように流れて来る数多の書籍紹介の中から、なぜ私が迷いなくこの本を選び、その日のうちに書店に探しに行き、読み始めたのかは分かりません。
 読み終えた今思えば、”この時代”がそうさせたとしか思えない。
 今の世界が、20世紀初頭当時の世界よりマシになっているのかは、正直よく分かりません。
 当時、『君たちはどう生きるか』を書いた吉野源三郎氏も、今『壊れた魂』を書いた水澤章氏も、揺るぎない気持ちで勇気をもって書かれたという点で、相通ずるものがあります。
 “理性的に考える”ことの大切さを、平易な言葉で訴えるこれら二作からのメッセージを心で受けとめたなら、ただちに武器を置かなければならないと感じるはず。誰がいい誰が悪いではなく、人が相争うということが、巡り巡れば無益でしかないことを肝に銘じなければ。。。
 地球というパブリックなものの、どこをどう切り取っても、所詮は誰のものでもないし、誰一人として他の誰かに服従する必要などないのだからーーー。人生は、協奏曲を奏でるように、自分を活かすとともに他の誰かを活かしてこそ!と思える作品です。

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2023年10月10日 (火)

『木挽町のあだ討ち』

20231005  先週、表題の書籍を読了。
 実家に転がっていたのをもらって帰って来て、スキマ時間にチョロチョロと読んでいました。
 近頃はあまり、芥川賞・直木賞等の受賞作に手を出さなくなっていたのですが、父が「面白かったよ」と言っていたのにノセられ、読んでみました。
 久々の時代小説でしたが、面白かった♪
 構成もさることながら、個人的には、大筋のストーリーよりも、前段に置かれた、各登場人物の来し方の物語に惹かれました。
 江戸にはいろんな人がいる…という、世界の広さを体感した地方の若いお武家様が、自分の気持ちに正直に、まっすぐな道を進めるようになるまでの顛末が、舞台劇のように展開されます。
 人情モノに飢えた方は、是非ご一読を!

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2023年9月 6日 (水)

『星を継ぐもの』

20230829_05  先月末、表題の書籍を読了。
 ハードSFの巨匠と謳われるJ.P.ホーガンの作品なのに、なんと初読です^^;;;;。
 ずっと読みたかったものの、新版化でようやく手を出すことが出来ました。
 ストーリーやSF設定もすごく予知的でスゴいのですが、それよりも、人間や地球や宇宙へのまなざしと、真理に迫りたいというサイエンティストの矜持と、学際的方法論の真摯さがスゴい!!!
 分断化が進んだ昨今読むと、果たしてこの先、今の人類は、ルナリアンたちのような自滅の道を進むのか、ホモ・サピエンスとして和平的に危機回避するのか、種としての進化を見守る感覚に陥ります。
 ある謎に直面した人類が、総力を挙げてその謎の解明に挑む過程を克明にたどる物語なのですが、読んでいるこちらまで、事実の因果関係や、科学的な説得性について考えさせられるという構成が秀逸!
 いまどき、「科学的根拠」という言葉があちこちで聞かれますが、その根拠を示すためには、様々な分野の数多くの事実の蓄積と関連性の証明が必要であって、本来は数ヶ月や数年の分析だけで断言できることの方が少ない。それでも、薄弱な根拠でも前に進むしかない場面が多いのも確か。この匙加減のバランスが難しいわけですが、本書に登場するUNSA(国連宇宙軍)のグレッグ・コールドウェルのように、あらゆる専門家を束ねて各々の本領を発揮させ、問題解決に当たれるような人が、この時代には貴重なのだろうなぁ…と感じました。
 創元SF60周年記念で、本作に引き続き、『ガニメデの優しい巨人』、『巨人たちの星』、『内なる宇宙』、『ミネルヴァへの航海(仮題)』と、新版5部作が続々と刊行予定とのこと。ゆるりゆるりとでも、全作フォローしたいと思っています♪

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