(中東の悲惨さに比べれば、なんてことない出来事ではありますが…)なんとも、むごい仕打ちの16日間だった。。。あたかも、インターネットや携帯のない時代の切ない恋愛のごとく、毎日毎日、電話機を見つめ、何度もポストをのぞく日々……。けれど、私が待っていたのはLoveCallでもLoveLetterでもなく、、、色気のない“繰り上げ”に関する通知だった。そして運命の火曜日、やってきたのは“繰り上げ連絡”ではなく、“繰り上げ終了通知”の方だった―――。
入学試験に“繰り上げ”はつきものと、頭ではわかっていたけれど、まさか我が身にそれが降りかかるとは思ってもいなかった幾星霜。息子の中学受験の最後の最後で、“繰り上げ候補者通知”などというものをいただいてしまい、この2週間ばかりは生きた心地がしなかった。一人が何校もの受験をする中学入試においては、ある一校が繰り上げ合格者を出すと、ドミノ倒しのようにそれが他校へも波及してしまうという弊害はよく知られている。
各校一斉召集日の夜に電話がなかった時点で、我が家では半ばあきらめてはいたものの、“繰り上げ終了通知”が届くまでは何となく宙ぶらりんな気分のまま、電話が鳴るたびにドキドキしていた。けれど、かかってくるのは「新聞の無料購読のご案内」やら「金・プラチナ買い取ります」やら「保険の勧誘」やら、そんなものばかり。正直、あてのない連絡をただ待つというのが、こんなに辛いことだとは思わなかった。繰り上げがなければ通うことになる学校の、説明会参加や制服採寸は、なんだか後ろめたい気持ちだったし、小学校への進学先報告の書類はペンディング、区役所へも進学先の報告に行けず、おじいちゃんおばあちゃんや友人たちにも連絡できず、塾へのご挨拶も、神社へのお礼参りも先送り…と、とにかく精神衛生上よろしくない2週間だった。どの学校でも、入学辞退者が出るのは望ましいことではないけれど、せめてホームページ上で、確定状況を実況してくれたら、私のように気をもむ親御さんは少しは助かるんじゃなかろうか…?
まぁ、こんなふうに恨み節なのは私だけで、息子は、自分の憧れの学校を受験できて、力及ばずながらもあと一歩だったと知ることができ、悔いはないようだ(さすがに、“終了通知”を見せたときには残念そうにしていたけれど…)。夫も、今回の通知には好意的で、「“惜しかった”とわかっただけでよかったじゃない」と前向き。我が家の男たち、こんなにポジティブだったっけ? 家族の中で一番、この“候補通知”に期待を寄せていたのは、実は私だったのかぁ~と、ちょっぴり恥ずかしかった。
期を同じくして、学芸大附属竹早中の不適切な進路指導について報道されていた。附属高を入学辞退する人が出ないように指導していたというのだが、学校側の気持ちもわからなくはないなぁ~と思ってしまった。中学受験でも、みんながフラフラと入学先を悩んでいては、なかなか入学者を確定できないし、その最終的なしわ寄せは、結局公立中にいってしまう。本来は、本当に行きたい学校を1つ受験するのが健全な気もするし、そうなれば“押さえ”とか“滑り止め”なんて失礼な言い回しもなくなるのだろうに――。とはいえ、選択肢豊富なこの時代、それもまた非現実的。学校側も生徒側も、自らのご縁の中で精いっぱい頑張っていくだけだ。
これにて我が家もようやく、晴れ晴れとした気持ちになれた。長い2週間だったけれど、これでスッキリできる! 息子よ、今度こそ、“進学先決定おめでとう~!” お世話になることとなった学校の校章は、陶磁器で有名なマイセンのバックスタンプにちょっと似ていてなかなかカッコいい。息子は、その学校にある“海馬研究会”という同好会が、脳の方の海馬なのか、遊戯王の海馬なのかを突き止めるのが、当面の楽しみのようだ。さぁ、気持ちを切り替えて、新しい日々を楽しむことにしよう
――ということで、今日の息子の帰宅までの行動計画は、区役所への報告・お礼詣り・塾へのお礼見繕い・「ソーシャル・ネットワーク」観賞、そして帰宅後は塾へのご挨拶…という感じ。心機一転の勉強集中は明日からと致しましょう。
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